メープル農家の喜び

昔ながらに森とともに

メープル農家の喜びコースメープルシロップやメープルシュガー作りは、メープルの森と暮らすメープル農家にとって、親から子へ代々伝えられてきた伝統行事。待ちに待った春!メープルの森の”収穫”の季節でもあるのです。

氷点下の寒さのあと、初めての暖かい日が訪れると、カエデの樹をたっぷりの樹液が流れ始めます。メープルシロップ作りが始まると、メープル農家は家中が大忙し。よちよち歩きの頃から子どもたちもお手伝いする家族の共同作業です。樹液が次々に集められ、火が焚かれて、やがて煮詰めた蒸気が小屋の蒸気煙突からたなびき始めます。

採取した樹液は、鮮度が落ちないように、その日のうちにメープルシロップに煮詰めて仕上げなければなりません。まだ雪景色の夜の森に、蒸気煙突からもうもうと白い湯気が、また煙突からは薪のパチパチはぜる赤い火が勢いよく吹き上げ、あたりを染める光景は、とても力強く幻想的です。


 
来年のシーズンのために

樹液の採れる期間は毎年異なりますが、短い時はわずか2週間しか続かない年もあります。(そんな年は、生産されるシロップの量も少なく、値段が高騰します。人の手が及ばない自然からの恵みなので、メープル農家では樹液が長く採れるように祈るしかありません。)

気温が氷点を下回らなくなって、池のカエルが鳴き始め、草の芽がふくらんでくると、メープルシーズンも終了の合図。気温が高くなると樹液に独特の苦みが出るようになり、やがて樹液が出なくなります。
森が春めく頃には、バケツやチューブを取り外し、道具を片付けます。また来年のメープルシロップ作りのために、きれいに手入れをしてしまっておきます。

雪の上の砂糖パーティ

カナダの東部からアメリカ北東部には、200年近くもの昔から、代々メープル作りを続けているというメープル農家がたくさんあります。そんな地方で、みんなが大好きな春だけのイベントがあります。

雪の上の砂糖パーティ」(シュガー・オン・スノウ・パーティ)それが「雪の上の砂糖パーティ」(シュガー・オン・スノウ・パーティ)。インディアンや開拓民の時代から、ずっとずっと続いてきたお楽しみで、熱々のできたてシロップを雪の上にたらして、やわらかく固まったメープルタフィー(キャンディ)を味わうのです。

長く厳しい冬を耐えて、森とともに暮らす人々の喜びがはじけるとき。その楽しい様子は、「大草原の小さな家」(ローラ・インガルス・ワイルダー作)のシリーズ第1作「大きな森の小さな家」にも描かれています。質素で素朴だけれど、心豊かな暮らし。メープルシロップやメープルシュガーの幸せな味は、そんな暮らしの味なのかもしれませんね。