インドスイーツ・番外編LATA’sキッチン★

特別番外編LATA'sキッチンがはじまりました牛乳とバター、グリーンカルダモンとナツメグを用意しますフライパンにバターをいれてニンジンを炒めます
フライパンの中は牛乳鍋のようになっています
温かいのもGood!メープルナイス!
ナチュラルでシンプル。ハンドメイド。これヘルシー。神様がくれたもの!
Gカルダモンの中身を取り出し、乳鉢などで粗潰しにする

乳鉢がなければラタさんのように麺棒などで潰す

乳鉢がなければラタさんのように麺棒などで潰す
3分ほどに1度くらいのペースで中身を混ぜて、煮詰めていく
水分がなくなってくるとやがて黄金色の透明な油が染み出してくる
仕上げにGカルダモンとナツメグを加えてよく混ぜ合わせたら出来上がり
出来立ての熱々もかなりおいしい

突然ですが今回はインド人主婦のLATAさんをご紹介いたします!

彼女をご紹介したいのは単にインド人だからではありません。
国籍に関係なく、どこか懐かしさを感じるし、尊敬しているから。

女性らしさ、母らしさ、といっていいのでしょうか。
彼女は小学生になる息子さんS君とインドレストランを営むご主人Mさんの3人家族ですが、みなさんを見ていると自分の幼少期(1970年代)を思い出してしまうのです。

周りの女性たちはみんなLATAさんのようでした。お袋、隣近所のおばさんたち、幼稚園や学校の先生。登下校途中の商店街のうどん屋や魚屋のおばちゃんなど。

「こら!そんなところにツバはいたらアカン!」
「よそ見せずにちゃんと前を向いて歩きなさい!」
「目の前のものをちゃんと食べる!テレビを見ない!残さない!」
「もう日が暮れたから早く帰りなさい!お母さんが心配するよ」

叱られただけではありません。

「おや、また背が伸びたね。大きくのなるのを、みんな楽しみにしているよ」
「いつも元気だね。こっちも元気になっちゃうよ」
「今日はお父さんがお土産を持って帰ってくるって。楽しみだね〜」

僕とLATAさん家族との付き合いはなかなか濃いです。ご主人のMさんとはもう15年ほど。LATAさんは来日した直後からなので、ん?何年か忘れました。そしてS君とは彼が生れたときからの付き合いです。

突然ですが今回はインド人主婦のLATAさんをご紹介いたします!

彼女をご紹介したいのは単にインド人だからではありません。
国籍に関係なく、どこか懐かしさを感じるし、尊敬しているから。

女性らしさ、母らしさ、といっていいのでしょうか。
彼女は小学生になる息子さんS君とインドレストランを営むご主人Mさんの3人家族ですが、みなさんを見ていると自分の幼少期(1970年代)を思い出してしまうのです。

周りの女性たちはみんなLATAさんのようでした。お袋、隣近所のおばさんたち、幼稚園や学校の先生。登下校途中の商店街のうどん屋や魚屋のおばちゃんなど。

「こら!そんなところにツバはいたらアカン!」
「よそ見せずにちゃんと前を向いて歩きなさい!」
「目の前のものをちゃんと食べる!テレビを見ない!残さない!」
「もう日が暮れたから早く帰りなさい!お母さんが心配するよ」

叱られただけではありません。

「おや、また背が伸びたね。大きくのなるのを、みんな楽しみにしているよ」
「いつも元気だね。こっちも元気になっちゃうよ」
「今日はお父さんがお土産を持って帰ってくるって。楽しみだね〜」

僕とLATAさん家族との付き合いはなかなか濃いです。ご主人のMさんとはもう15年ほど。LATAさんは来日した直後からなので、ん?何年か忘れました。そしてS君とは彼が生れたときからの付き合いです。

そんな長い付き合いの中で、LATAさんの優しさと厳しさを強く感じるのがやはり食です。インド人女性のほとんどがそうだと聞きますが、彼女もまた手料理に徹しています。

出前やスーパーなどの惣菜などといった完成品を購入するなんてことは皆無。
すべて野菜や米穀類、スパイスなどから手作りされたものばかり。

もちろん(?)、日本人の子供と同じようにS君はしばしば抵抗しているようです。
「こんなもんいらんっ!インド料理嫌い!インド大嫌い!ピザが食べたい!」

めちゃめちゃ気持ちが分かります。
僕の両親は静岡出身で東京経由で大阪にやってきました。その当時の大阪ではガイコク人みたいなものでしょう。その上、母親がひといちばい手料理派なのです。

天ぷらといえば熱々の天汁、雑煮は吸い物に削り節、麺類はほとんど蕎麦、カツといえばトンカツでキャベツのケン切りには醤油のみでした。しかし、友達の家や商店街などへ行くと、お好み焼きやたこ焼きをはじめ、とにかく甘っ濃い味のものが溢れているのです。

僕の家には、ソースやマヨネーズ、紅ショウガなどはありません。みんなの家の食卓があまりに衝撃的すぎて、そのときの僕は暇さえあれば近所の家の何かを食べに訪問する癖がついたくらいです。

おいしかったな〜、どろどろソースのビフテキにマヨネーズいっぱいのお好み焼き。

あれからいろんな局面を経て、いま分かっていることがあります。
それは母の手料理には得体の知れないパワーが溢れているということ。
僕は全国各地のスローフードなどを食べる仕事をしてきましたが、港町などでいただく魚介類や、農村での野菜料理にもよく似た感覚があります。

一言で言うと、とても疲れる。そう、体力が要るんです。ちょっとこちらが不調なときは様々な症状がでるときもあります。通じが止まるとか、蕁麻疹が出るとか、汗が吹き出るとか、少しだ食べただけで満腹感に襲われるとか。

それを受け入れられないとき、パワーがないものを食べたくなります。と同時に代償として、濃い味が欲しくなる。特徴としては、簡単なもの、感じようとしなくてもすぐにわかるもの、つまりとにかく味が濃いもの、そんな流れでしょうか。

S君もどうやら外でファーストフードをはじめとする完成食をもらったりしているようです。LATAさんとMさんは強い愛の持ち主ですが、こればかりは防ぎようがない。いや、正確には日本では防げない。

特に今の日本は、曲がる角々に安価で完成した食品が無数に存在します。食にコンセプトなんてない国だから、中身なんてなんでもありの状態。肉が、薬品が、なんてことを口にしただけで堅物扱いされてしまいます。

この、なんでもありの荒波の中で、母の手料理、しかもベジタリアン(インド式)で暮らせ、というのは高速道路の逆行よりも難しい話ですよね。

ラタさんは、日本のことをとても平和で豊かな国と誉める一方で、もうすこし一人一人が主体性を持ったほうがいいともいいます。特に食に関して。

「自分は何をどれくらい食べるのか、またそれはなぜなのか、自分で考えることをしたほうがいい」なんて意味のことをです。

インドの家庭のあり様をこのように言います。

「男が元気じゃないときはその家の奥さんが悪い。料理がよほど下手かスパイスの使い方がわかってないかのどっちかが原因」
「インドはみんな大家族。子供からお爺さんまでが喜ぶ料理を作ってナンボ」
「日本のインド料理店のほとんどはパンジャビー料理(ナンやタンドリーチキン、リッチなカレーなど)。主婦が作るのは素朴で優しい味ばかり。だから毎日でも食べられる」
「料理の先生は誰もが自分や旦那の母。母から子へ、がインドのセオリー」

おそらく僕は今まで、いろんなインド人の家庭料理を100回くらいはいただいたことがあると思いますが、そのどれもが明確なコンセプトを持っており、味は優しく、肉や魚はないのに満足感があるものばかりでした。
(インドにはあらゆる種類のベジタリアンがあるようですが、その大部分は日本人が思うようなストイックな世界ではありません)

そんな彼女たちだから、やっぱりメープルシュガーも嫌いなわけがない。
LATAさんがメープルをひとつまみ食べ、数秒後に手を口の前にやってグー・パーを繰り返しました。
「uuum、とてもスイーツ。ワイド。そして残らないネ」
そうでしょ。これLATAさんなら何に使いますか?

「・・・・・・インドのスイーツ、ガジャハルワにいい!今から作るヨ!」
というわけで特別番外編LATA’sキッチンがはじまりました。

インド人は野菜をよく食べます。まずはニンジン、大きなもの3本をぜんぶ千切りにします。そして牛乳とバター、グリーンカルダモンとナツメグを用意します。

フライパンにバターをいれてニンジンを炒めます。

「5ミニッツたったら牛乳入れるネ。たっぷりヨ〜〜〜」
フライパンの中は牛乳鍋のようになっています。

しばらくたち牛乳が煮詰まってきました。
フライパンの底には黄色く透明な油が滲み出ています。
「これギー!インドでは家で作る人多いネ。売ってるもの、偽物多いからテイクケア!」

ほどよく煮詰めた時点でメープルシュガーを投入。
直後に潰しておいたグリーンカルダモンとナツメグを振り入れます。
すると途端にメープルと乳牛とカルダモンの渾然一体となった香りが湧き上がりました。

「インドではちょっとでもめでたいことがあったらこれを作ります。普段でも冷蔵庫にキープして、朝に一口、帰ってきてから一口、寝る前も。う〜ん、みんな大好きネ!」

そしてラタさんはスプーンにとって、ご主人のほうへもっていきました。
ご主人はスプーンに鼻を近づけ2,3度大きく呼吸します。
「ウ〜ン、これがメープルだね。香りが違うよ、食べなくてもわかるヨ」

「フゥッー、フッー。ハフハフ・・・・・・・ウンッウンッウ〜ン、ラ〜タおいしいヨ!
温かいのもGood!メープルナイス!」

ラタさんは満面の笑顔になり鼻の横にあるピアスがきらりと輝きました。
「メープル、わたし初めて。わたしの故郷グジャラートは甘いの、神様ネ。これカナダの神様カ? カワムラ、日本のみんなに知らせるネ」

ご主人も続きます。
「何が入っているかわからないスイーツ、ノー。お金さえあればすぐ買える、ノー。ナチュラルでシンプル。ハンドメイド。これヘルシー。神様がくれたもの!」

なんだか話が哲学的になってきたぞぉ〜。
でも確かに、時間をかけて作り上げるのも、スプーンでたった一口食べるのも、どちらも幸せいっぱいの気持ちになります。

ラタさん、S君にもって帰ってあげて。さすがにこれなら食べるよね?
「イエス!ガジャハルワ大好きネ〜。でも要らない」
そう言わずにもって帰って!
「ノノノ、もう作ってあるヨ。冷蔵庫にある。毎日食べるからネ!」

彼らの元気の源が食にあることは間違いないと思います。

『インドレストラン・カジャナ』
LATAさんの西インド家庭料理を食べることが出来る。
グジャラティ・ターリー(ランチとディナーあり)
ガジャ・ハルワはディナーのデザートにて
大阪市淀川区西中島4-6-30
06-6301-2520 無休
11:00〜14:30 17:30〜22:30

☆With メープルシュガーレシピ32
『LATAさんのガジャハルワ(GAJAR HALWA)』
ニンジン      250g(大きめ3本)
牛乳        500cc(3.6
メープルシュガー  100g
バター(無塩)    大さじ5〜6
Gカルダモンホール(ホールがなければパウダーでも可) 3ヶ
ナツメグ      少々(ホールがなければパウダーでも可)

1.ニンジンは皮を剥き千切りにする。

2.Gカルダモンの中身を取り出し、乳鉢などで粗潰しにする。乳鉢がなければラタさんのように麺棒などで潰す。

3.ナツメグをおろしがねでおろす。少々がよい。多くても小さじ1/3以下。

4.鍋にバターを入れて火をつける。

5.バターが溶けたらニンジンを炒める。

6.蓋があれば時間が短縮できる。焦げ付かないように時折中身を混ぜる。

7.10分ほど炒め蒸したら牛乳を加える。吹き零れないように時折蓋を開けて混ぜる。

8.3分ほどに1度くらいのペースで中身を混ぜて、煮詰めていく。

9.水分がなくなってくるとやがて黄金色の透明な油が染み出してくる。これがインドで言うバター「ギー」。

10.弱火にしてメープルシュガーを投入。よく混ぜながらここから約10分。

11.完全に水分が消失し、ギーとメープルのいい香りが立ち込めたら、火を切る。

12.仕上げにGカルダモンとナツメグを加えてよく混ぜ合わせたら出来上がり。

13.通常は冷やしたものを食べるものだが、出来立ての熱々もかなりおいしい。両方楽しもう!

メモ
ラタさん「インドではここにナッツやドライフルーツをトッピングすることが多いネ」
ご主人「出来立ての熱々ガジャハルワにココナッツやバニラのアイスクリームを載せてもおいしいヨ!
ラタさんは西インドのグジャラートの出身。ここはガンジーの出身地ということもあってかベジタリアンが最も多い地域といわれ、平和で温厚な人が多い街といいます。