サンフランスコのレストラン「Skool」の練乳デザート&青ノリ・チップス★

午前9時、料理も仕込みスタート厨房にはヒロコさんの注意書きがタコスチップの替わりにアペリティフに添えて「2号店?ハイもちろん!」計画を語るヒロコさんSkoolのデザート<トレス・レチェ風パンナコッタ>バースペースも充実している「Skool」黒板メニューもノート風こだわりのテーブルトレスレチェ風パンナコッタ、自宅で再現。アメリカ式計量カップに入れてみた店員さんもお客さんもかっこいいおうちで作ってみた簡単チップス

サンフランシスコのレストラン「スクール(Skool)」へ。

午前7時、店を営むヒロコさんが迎えに来てくれた。レンガ造りの倉庫やIT企業の本社を通り過ぎる。シックな家具やオブジェが並ぶショールーム街に店はあった。

「Skool(スクール)」はSchoolのスラングで、魚の群れの意味も。

「みんなで成長していこうって思いを込めたんです」。メニューはルーズリーフに印刷され、黒板メニューも学校風にしゃれている。

バーカウンターが正面にあり、テーブルもかっこいい。品のない親子が乱入、すみません。

「いや、うち、ファミレスですよ」。ヒロコさんは笑った。

まさか。でもシックな大人の店だが子ども椅子がある。倉庫にはドギーバッグ(残った料理の持ち帰り)用のボックスがそろっていた。アメリカらしい。

地元放送局のベスト・シーフード・レストラン3位に。

食の激戦区・サンフランシスコで開店して2年足らずで選ばれた。そうだろうな。

ムール貝は地元産ブルーチーズ入りで、スープがうまみたっぷりで。「替えムール」したくなったから。生態系を傷めない方法でとられた「サステナブル・フィッシュ」のみを扱い、地元産にこだわる。

経営者兼デザート係、真の役どころは…。

夫トシヒロさんがシェフで、80席あるフロアは友人夫妻が仕切る。ヒロコさんは評価の高いデザートを作りながら、20代の厨房スタッフに声をかけていく。

「私、みんなの母ですよ〜」。いやまさか。もてなし心は満タンでチャーミングで、どうしたって慕われるお姉さんのはず。

「メキシコの子たち、語学学校に行かせたいんですよ。ちゃんと勉強させたい。英語ができれば生き残れる」。

「トレス・レチェ風パンナコッタ」を紹介してもらった。

トレス・レチェ(Tres Leches)は「3種の牛乳」の意味になる。コンデンスミルクにエバミルク、生クリームにスポンジを浸した中南米のおやつで、ヒロコさんはペルー系の友人のパーティーで知ったという。

練乳は大好き、見逃すわけがない。ラテンの味をイメージしたパンナコッタに仕立てた。

ラテンは香る、少女の夢のせて。

スプーンですくう。まったりしてキャラメルみたい。のっかったイチゴがほほえましい。練乳といえばイチゴでしょう。乙女そのものだな。ヒロコさんたら、うふふ。

ひょっとして、この子、見たことある。

午前9時、スタッフが現れ始めた。バタバタと引き出しを開ける。お邪魔だな、おいとましよう。

台の上のタッパーに目が留まった。こんがり色の円盤が詰まっている。どこかで見たことあるような…。

「はい、ギョーザの皮です」。

やっぱり。いいアイデアだわ。どうやって作るんですか。「ええ、レシピも何もないですよ〜。説明するのもこっぱずかしいんだけれど…」。照れながら教えてくれた。

名付けて「ベークド・アオノリ・ジャパニーズ・チップス」。

店では魚のマリネや野菜のグリルに添えるそうだ。もちろんお酒のアテにもいい。パリパリした磯の香りが止まらない。

情熱の食ハンターは在住17年、まだ進化中。

2店目は?と問う。ほほ笑みながら言った。「もちろん考えています」。ほれた。抱きしめそうになった。あやしいか。

だって「まだまだ」「そのうち」じゃない。勝負する人は美しい。見習おう。2店目オープンには駆けつけよう。ありったけの愛を込めて。

ヒロコさんとの現地発!取材レポート

☆トレス・レチェ風パンナコッタ(150㏄入りカップ2個)

エバミルク(無糖練乳)80g、牛乳80g、コンデンスミルク(加糖練乳)40g、板ゼラチン1枚(1.5g)

1. 板ゼラチンは氷水に浸してふやかす。

2. エバミルクとコンデンスミルクを鍋に入れて60℃ぐらい(少し湯気が立つ程度)まで温める。

3. 水けを絞った板ゼラチンを入れる。ゴムべらでよく混ぜて溶かす。

4. 牛乳を混ぜる。器に入れて2時間以上、冷やし固める。

<メモ>

・「Skool」では生クリームも入れます。牛乳80gを牛乳50g、クリーム30gにすればさらに濃厚に。お好みで。

・ラム酒を入れても。

・同量の粉ゼラチンでも作れますが、少量で計量が難しいので板ゼラチンをお勧めします。

☆青ノリ・チップス(直径8㎝20枚)

餃子の皮20枚(市販品)、水大さじ2、塩小さじ2分の1、オリーブ油小さじ1、青ノリ少々

1. 餃子の皮をオーブンシートを敷いた天板に1枚ずつ広げる。

2. 水に塩、オリーブ油を混ぜて溶かす。

3. 餃子の皮に小さじ3分の1ずつぐらいたらして塗る。

4.青ノリを散らす。170℃のオーブンでキツネ色になるまで焼く。8〜10分ほど。

<メモ>

・青ノリのほかにゆかり、すりごまでもおいしいです。

・「うまみを出したいときは水の代わりに昆布だしでも」とヒロコさん。

Skool