パリ編[3]和のおやつデモ仕込みスタート

デ・ガトー・エ・デュ・パンのクロワッサンなど。合計5.2ユーロ。ル・ボンマルシェ食品館のホタテのフランドール。9.9ユーロ。「サーモンの宝石箱」8.5ユーロ。野菜のムサカ。10.5ユーロ。バイヨンヌの生ハム4枚で2.92ユーロ。キイチゴ125gで4.95ユーロ。生後15か月用の離乳食。太陽の野菜、鶏のバスク風、ご飯。離乳食、中身はコチラ。塩けゼロ・・・。南仏帰りのユミコさんにいただいたカリソン午後5時、かぼちゃ切り断念、そのままゆでることに千代紙で竹フォーク袋を手作り

注:1ユーロ≒100円

祭日の月曜日午前10時、パリ最古の百貨店ル・ボンマルシェ食品館へ。

マロンクリーム、卵…。「和のおやつデモ」の材料を買い出ししよう。ふだんならどこのスーパーでも売っているものだけれど、祝日で開いていないから。

パリの公約、1日1クロワッサン。

15区パストゥール大通りにあるおしゃれなパン屋「デ・ガトー・エ・デュ・パン」が開いていた。

「やってくれているだけでうれしいねぇ」。大阪のアシスタント、リサさん母娘と喜ぶ。ミニクグロフが2.2ユーロ。クロワッサン1.2ユーロ、ヴァニラ味のパン・ペルデュ(フレンチトースト)1.8ユーロ。

どれもほんわり、やさしくて発酵のころあいがいい。

ル・ボンマルシェの美しいおそうざいたち。

デモの仕込みもあるけれど、そもそも生後11カ月の丁稚ケイがいる。リサさんが「部屋食」を買ってくれた。

ホタテののったパイ風の「フランドール」は少し散らされたピンクペッパーがおしゃれだな。9.9ユーロ。

サーモンのカニ包みは「宝石箱」との名前が素敵。8.5ユーロ。

ギリシャ料理のムサカも、どこかフランス風。

フランス製の木の箱「パニムール」入りだとパリっぽい。10.5ユーロ。

生ハムコーナーで大きなかたまりから切ってもらった。南仏バイヨンヌの生ハム、4枚で2.92ユーロ。

デザートにはキイチゴを。125g4.95ユーロ。ちょっと高いけれど旅行者バネでいてまえー。

南仏バスク風の離乳食…3.3ユーロ。

赤ちゃんコーナーで見つけた。オーガニックで「モン・プチ・プラ(私の小さな皿)」とある。

中身は「太陽の野菜、鶏のバスク風、ご飯」。おおフランスっぽい。生後15カ月向けとあるけれど大丈夫だろう。

開けると「トマト入りおじや」が大人の茶碗2杯分ぐらいある。

さすがフランス、どこがプチ?と問いたくなる量だった。

塩けはないが、ちゃんとハーブの香りがする。タイムかな。ケイは半分ずつ、大口を開けてパクついた。何でも食べるやっちゃなー。

午後2時、打ち合わせのためジャーナリスト宅へ。

ケイをリサさんたちに託す。打ち合わせと重曹をもらいに、近くのユミコさんちに歩いて出かけた。

ホテルの部屋の扉を閉めた瞬間から肩が10センチ以上、下がった気がした。

フーッ。うそみたい。あ、私、1人で歩いている。何て身軽なんだろう。

出発前の2週間、相方ユウさんがインド出張でいなかった。1人になれたのは歯科医院で、大口を開けている10分だけだった。

いまだけイマダケ今だけ…。

キノコのような呪文が効かないこともある。やっぱり時々、夜空に向かってパオーン、叫びたくなっていた。

南仏プロヴァンス土産、カリソン。

南仏の取材から帰ったばかりのユミコさんからいただいた。アーモンド菓子カリソンは、ひとみ型でダイヤのようなパッケージ入りがお約束。プロヴァンス名物だけれど、おいしいのに出会ったことがなかった。

おひとついただこう。緑茶とともにいただいた。手にした瞬間から違いが分かる。

わ、こんなにやわらかいカリソン、初めてだな。

アーモンド生地がしっとりやさしい仕上がりで、上面の砂糖衣との歯ごたえの違いがいい。創業90年の菓子店「コンフィズリー・デュ・ロワ・ルネ」という店のものだった。パリじゃ買えない味、大切にいただこう。

帰宅してリサさんにも勧めた。初めてカリソンを食べるという母娘も気に入った。もちろん人生初カリソン、丁稚ケイにもやってみよう。

わ、もぐもぐしている。後から焦ってどうする。1個まるごと食べてしまった。もったいない、返せー。って、やったのは私か。

Confiserie Roy René

アシスタントは菓子作家「プチ・ボヌール(小さな幸せ)」。

アシスタントのミキちゃんが計量や片づけまでこなしてくれる。大人向け料理スクールで製菓の基礎クラスを終えた彼女は、友人や親類にお菓子を焼く腕前だ。

ちゃんと「プチ・ボヌール」という屋号もある。大阪の自宅近くにある老舗ステーキ屋をもじっているというのがまた、茶目っ気があっていい。

「包丁がないんですけど」。

かぼちゃを切ろうとしたリサさんの声がする。いやあ、いくら何でもあるでしょう、ほら、あった。「え、これが包丁?」。はい、切れない小さなナイフですが。さすがにかぼちゃは歯が立たない。まるごとゆでてみよう。

ドボン。ぷかぷか浮かぶ。おいしいかぼちゃだといいのだけれど…。

千代紙で竹フォーク袋づくり。

リサさんが千代紙を持ってきてくれていた。箱や箸袋を折っている。

あ、素敵。箸袋はミニサイズで折れば、竹フォーク入れにピッタリかも。フランスの人にウケそう。簡単に折れるし、参加者に紙を配って自分で折ってもらおう。

「コーヒー、淹れましょうか」。

ミキちゃんが声をかけてくれた。何て気の利く中2なの。ホーッ。本当に助けられている。

ありがたくて涙ぐむ。パリで1週間後、彼女たちとは別れる。

いまから1人になるのが心配になってきた。

こうやってコラムを更新できるのも彼女たちのおかげだもの。

ありがたいっ。1日1000回、部屋から見えるパンテオンに向かって叫んでもまだ足りない。本当に貴重な時間、パラダイスだわ。