スイス編[7]UNHCR本部で「Sweets for thought」デモ

難民に配給される調理道具エタノールをしみこませるエタノールコンロでがんづきを蒸すがんづきコーンとエタノール燃料コンロ無事に蒸し上がった「がんづき」アフリカおやつと日本のおやつ、勢ぞろい試食を勧める。少しずつ手が伸びる参加者が送ってくれたイベントの写真帰ってホッ。ヴァニラヨーグルト食べ比べなつみさんにいただいたシリアルバー、おいしい!

1スイスフラン≒83円

午前7時、がんづき、かりんとう、セイロを袋に詰める。

UNHCR勤務の居候先シゲコさんがすべて持って行ってくれた。ありがたい。午前11時半、もう真夏の空。歩いてUNHCR本部へ。

抱っこひもの牢名主ケイも体温が高い。暑くなりそうだな。到着する直前になって気付いた。

デモ用のトウモロコシを忘れてしまった。

UNHCRの裏にある生協へ駆け込んだ。250g入り1缶が0.9フラン。安い。米スタンフォード大の研修生アリスがセキュリティチェックで迎えてくれた。

「たくさんポスターが張ってあってびっくりしたわ!エキサイティングになりそうね」。

確かに金曜日に1枚だけ置いた1メートル大のポスターが2枚に増えていた。あはは、すごい。大イベントみたい。

テラス席で「Sweets for thought」デモ準備。

屋外テラス席のテーブルにエタノール燃料コンロをセットする。

エタノール400㏄をしみこませて火をつける。セイロをのせるお鍋にたっぷり水を張る。どれぐらいで沸騰するかな。

難民に配給される皿やコップ、鍋を並べる。アルミ製がそっけない。一家だんらんを思い浮かべようとした。でも阻まれる。もちろん飢えるよりいい。でもやっぱり切ない。

小麦粉、豆、ポリタンクも展示した。そろそろ始めよう。

テラス席が混み始めた。バギーの置き場も面倒を見る人も場所もない。パリ、ストラスブール、ローザンヌ…いままで恵まれていた。

改めてありがたい。ちゃんと100倍返し、しなくては。

30度近い暑さ、コンロの熱気も心配。でも仕方ない。おんぶしてデモすることにした。

ドヘタ仏語で話し始める。「日本の人が多いし、どうぞ日本語で」。

聴衆の1人から言われた。宮城がんづきの説明から入る。実演そのものは簡単だった。粉と砂糖、水を混ぜて型に流すだけだ。失敗しようがない…はずが、さすが私だ。

うっかり手を滑らせて木べらを落としてしまった。あちゃー。

なかなかお湯が沸かない。風が強いせいか。アルミ箔で覆ってお湯を足してしのいだ。

通りがかった人たちに試食を勧める。

暑いせいかあまり人が来てくれない。1人ぼっちになる。そうか、案外キビシイな、トホホ。

「おひとついかが?」「どうぞ召し上がれ」。カフェで配って回りたくなった。

カオリさん、シゲキさん夫妻が面倒を見てくれた。

ケイがぐずりはじめた。おんぶするとたいてい眠るのに、ずっと泣いている。暑いわな、そりゃ。困ったな。

UNHCR勤務のカオリさんとフランス文学者シゲキさんが助けてくれた。

ちょうどケイより1カ月ほど早く生まれた男の子がいるという。「おむつ、大丈夫かな」。

トイレに案内してくれた。洗面台に立たせて替える。助かった。

戻るとシゲキさんが留守番してくれていた。「来た人に勧めておきましたよ〜」。ありがたい。

午後2時、終了。試食がたくさん余ってしまった。

出たり入ったりで中途半端になってしまった。「コーンがんづき」は半分以上、残ってしまった。

もっと難民配給食料やエタノールコンロについて知っておいて、ちゃんと説明ができれば…。でも相手は難民援助のプロだしな・・。ためらいもあった。準備不足もあった。反省する。

トシさん、シゲコさんのおかげで開けたこと、とびきりの笑顔でお礼を言おう。

国際労働機関(ILO)の小児科医、ユカ先生と話す。

近くの国際機関に勤める日本の人たちも来てくれた。そのうちの1人、ユカ先生が午後2時、戻ってきてくれた。ランチタイムが過ぎて閑散としたカフェテリアで話す。

11歳、9歳、4歳の2男1女の母だった。「きょうチカコさん、おんぶしてデモしているのを見て、思い出しました」。

長男が生後7カ月で次男を妊娠中のころ学会発表をしたそうだ。

会場のわきで看護師さんに抱かれていた長男がぐずり始めて結局、おんぶしながら説明を続けたという。ひー、すごい。私なんてまだまだだわ。

海外に住む日本の母子サポートをライフワークにしている。

そこに「おやつ」がからめられたら…。インドに行けば私自身、まさに当事者になる。いいな、いいな。2人で盛り上がった。

彼女はまもなく一家5人で、カリブの島国トリニダード・トバコに赴任する。パワーが出るな。私ももっと、頑張ろう。

午後4時、帰宅。ヴァニラヨーグルトとシリアルバー、朝食のようなおやつ。

お昼を食べ損ねた。ナツミさんにもらったシリアルバーをかじる。「スイスの子どもの典型的なおやつ」と言っていたっけ。あら、おいしい。少しねっちり、ほどよくふんわり。

ヴァニラヨーグルトも3種類試そう。

2個セットをバリバリ切って、1個から買えるのに気付いた。いろいろ試せるからいいな。

「エクセレンス」は1個0.95フラン、スーパー「ミグロ」ブランドは1個0.55フラン、「ビフィズス」は1個0.85フランだった。やっぱり「エクセレンス」圧勝だな。フーッ、落ち着いた。

明日の夜にはジュネーブを発って帰途に就く。「帰るまでが遠足です」。小学校の教えを思い出す。荷造りしなくては…と思いつつ添い寝したまま眠ってしまった。