ピエモンテ編[4]パスタ工房&ドルチェ工房を訪ねる

フレッシュな羊の乳からできた「ジュンカ」パスタ職人・マウロが説明する2皿目はジェノベーゼ3皿目はラグーソースヘーゼルナッツからこだわるタヤリンを製造するパスタマシンお菓子づくりを説明するミレッラこの日4皿目、ラヴィオリ

1ユーロ≒100円。

ピエモンテ3日目朝。ヒツジのお乳でできた「ジュンカ」を。

チーズ職人シルヴィオが昨日、分けてくれたフレッシュチーズ「ジュンカ」が食卓にのった。羊ミルクをかためただけの味わい、フレッシュでほんのり甘い。くみあげ豆腐みたい。わさび醤油も似合いそう。

パスタ工房へ。その名は「タヤリンの家」。

シルヴィオの仲間マウロが1人でピエモンテ名物「タヤリン」を作り、販売している。細い平打ち麺で、卵入りなのが伝統的なスタイルという。

でも「尾根の数だけタヤリンはある」と言われるほど多彩なのだとか。

立派なパスタマシンに乾燥室…。小さな工房とは思えぬほど機械化が進んでいた。こうしないと保健所の許可が下りないのだそうだ。

まず1皿目は「パスタ・ビアンカ」。

小麦粉の皮を半分だけ残した「全粒粉」ならぬ「半粒粉」で作ったパスタに、オイルと黒こしょうをかけただけでいただいた。

「パスタ・ビアンカ(白パスタ)」と言うのだそうだ。まさに「白ごはん」と同じだな。

パリ在住ヨーコさんが言った。「おカネがないころ、白パスタ、よくやりました!」。私も私も。

麺の細さといい、香りといい、まるでソバのよう。ふくよかな香りがたまらない。

2皿目。おばあちゃんのジェノベーゼ。

バジルにニンニク、松の実のほかにピエモンテ名物ヘーゼルナッツ入りなのがいいな。7種の粉入りタヤリンにさっとからめる。米粉やトウモロコシ、ライ麦が入っている。滋味深い。

3皿目。牛肉のラグー。

もうお腹いっぱい…と言いつつフォークが伸びる。「食べ疲れしないのは本当におそばみたい」。イクコさんが言った。その通りだな。

「私も質問していいでしょうか…」。相方ユウさんがおずおず話す。「パスタっていつからあるんですか?」マウロの眼鏡の奥の目が光る。

ちょっと考えてからおもむろに話し始めた。おお、パスタ博士。

詳しくは帰国後、報告します!

午後4時、ミレッラのドルチェ工房へ。

チーズ職人シルヴィオ宅で昨日、いただいたヘーゼルナッツのケーキの作り手だった。しっとりでもふわふわでもなく「ほろほろ」の食感に感激した。「おいしい」「どうやって作るんだろう」。ヨーコさんとワイワイ話す。

イクコさんの夫ナベさんがさりげなく訪問の手はずを整えてくれたのだった。

坂を登った自宅は秘密基地みたい。ミレッラは47歳、もともとは看護師だった。小さいころからの夢をかなえようと9年前、工房を開いたという。へーえ。にこやかに迎えてくれた。

詳しくは帰国後、報告します!

2年前にも訪ねた製粉所「ムリーノ・マリーノ」へ。

有機食料品店「イータリー」でも扱われている。「マリーノの粉」といえば魚沼コシヒカリに相当するかのよう。石臼で挽いた粉は味わいがあって、私も大好きなのだった。

東京のイータリーやネット通販でも買えるが高くて手が出ない。

やさしいパパも息子も、2年前にやってきたことを覚えていてくれた。うれしいな。おまけにトウモロコシ粉を2袋もくれた。よっしゃ、持って帰ろう。

最後の晩ごはんはネイーベ村のビール醸造所で。

もともとは幼稚園と小学校の校舎だったというのが、すでに素敵だな。ビール醸造とレストラン、ビアホールがある。

この日4皿目のパスタ、ラヴィオリ・アル・プリンを。

ええい、この際、パスタ漬けになろう。黒板メニューをじっくり見る。まだ食べていなかったピエモンテ名物の「プリン」をいただいた。バジルとリコッタチーズ、トマトとオリーブ味で10ユーロ。

小さなモッツァレラチーズのフライをつまむ。

「チカコサンは何を飲みますか?」イクコさんに訊かれた。旅先でアルコールを解禁しようか。もともとそんなにお酒に強くないうえ、妊娠中から飲んでいない。「うう、レモンソーダで」。む、無念…。

Birrificio e Bir’ostu CitaBiunda