ニュージーランド編(11)チーズ学校で1日レッスン


9:00、チーズ学校へ。

料理研究家フィオーナが真っ赤なアウディで迎えに来てくれた。

ドイツ人の翻訳家アーニャも一緒だった。共通の友人フミコさんを最後に乗せてハミルトンを出た。

名馬のふるさと・ケンブリッジを抜け、牛や羊が草を食む牧草地を通り、湧き水の街・プタルルに向かう。

10:00、チーズ工房「オーバー・ザ・ムーン」着。

あれ、ここ?ドライブインみたい。ちょっと意外だった。

名前のように、月明かりに照らされる大草原の小さな工房…をイメージしていたのだが。

道路わきの店の2階が「ニュージーランド・チーズ・スクール」。

校長は豪州メルボルン出身のニール先生だった。

農場生まれで大学でチーズを学び、自家製チーズを指導して25年になる。

技術指導のため、日本にも何度も来ているという。

自己紹介が終わるとエプロンをつける。

白い衛生帽子もかぶった。

フミコさんがフリル付きエプロンのリボンを背中で結んでいた。

あ、「和のおやつデモ」でもアシスタント役で着ていたな。

アーニャがからかう。「フミコはふだん、フリフリの服なんて着ないのに!」。

「何と言っても衛生第一です」。

ニール師匠は赤い衛生帽をベレー帽のように斜めにかぶった。

わ、かわいい。還暦祝いの帽子に見える…。いや失礼か。

まずはキプロス風チーズ「ハルミ」を。

ニュージーランドで初めて食べた。

キュッキュッとした独特のかみごたえ、はんぺんのように少し焼いて食べるのがお約束だった。

牛乳を45℃に温め、レンネット(凝乳酵素)を加える。よく混ぜて穴の開いた型に流す。

かたまったカード(凝乳)をナイフで切る。まるで豆腐だな。

フミコさんは真剣な表情でナイフをカードにジグザク走らせた。フィオーナも丁寧なナイフさばきだった。

私とアーニャは大ざっぱに。性格って出るな。2人でクスクス笑い合った。

ホエー(乳清)はリコッタ・チーズに。

「捨てるところがないのね」。アーニャが感心して言った。

モッツァレラ・チーズは2種類作った。

30分モッツァレラは電子レンジを使う。

スライムみたいに伸ばしてボール状にまるめる。

わあ、面白い。デモやイベントでやったら絶対、ウケそうだな。

お待ちかねの試食は…。

ハルミは焼いていただく。いままで買っていたのは何だったんだー。思わずほえた。

出来たてのリコッタには4人ともメロメロになった。手づくりってなんておいしいんだろう。

「ゴージャス!」「素晴らしい!」。

語いが少なくて2語しか口から出ない。悲しい。

日本語でも「おいしいっ」を連発して身もだえているから同じか。

「写真撮りますよ、チカコさん〜」。フミコさんが世話を焼いてくれる。

おせっかい魂、さく裂させよう、私も世界中で。

16:00、ハミルトン着。

自家製チーズとチーズ製作キットを抱えてモーテルに戻る。

「こんな機会でもないとできない経験だったわ。ありがとう、チカコ」。フィオーナとアーニャが言った。

もちろん私も。ニュージーランドに移り、根付いた女性3人との遠足、かけがえのない時間だった。

詳しくは帰国後、報告します!