ニュージーランド編(14)香港で飲茶〜関空〜福岡

1香港ドル≒13円。

5:40、香港着。

乗り継ぎ便まで6時間ある。渡航歴20回を超す「かかりつけの街」へ。

2週間の旅のトリにふさわしく、踊り食いしよう。

その割に何の準備もしていなかった。

ケータイも使わず、地図もない。野性のカンを頼りにしよう。

1人なら粥麺屋に直行し、ピータン粥に油条(揚げパン)を浸しつつレンゲでアチチーッ、すすりたい。でも小さい店が多い。総勢5人、子連れでは入りづらいかな。

やっぱり飲茶にしよう。ええっと、朝から開いている店はどこだっけ。

7:10、老舗の陸羽茶室へ。

確か朝からやっていたような…。エアポート・エキスプレスを香港駅で降りる。当日往復チケット150香港ドル。

よかった、開いていた。

ターバンを巻いた門番に2階へ行くよう指示される。

奥のテーブルに5人で陣取った。堂々たる木製の子ども椅子があった。よかった、丁稚ケイを座らせよう。

ポットにたっぷりつがれたポーレイ茶がなつかしい。3年ぶりの香港だった。

昔ながらの駅弁スタイル。

点心を首から下げた小姐がテーブルを行きかう。

「ハーガウ(エビ餃子)!」「チャーシューパウ(肉まん)!」…。広東語が分からなくてもヘイチャラ、セイロのふたを開けて見せてくれる。

えいやー、片っぱしからいただくぞ。

香港はニュージーランドより5時間遅い。香港は朝でも我らが胃袋はお昼どきだった。

揚げドーナッツ、カニすり身揚げ、ごま団子はモチモチして、中身のあんからごま油が香る。ほどよい甘さ、さすがだわ。

5人で点心争奪戦。

あ、絶妙。陳皮だろうか、かんきつが香る。

何だろう、おいしそう。「イウ、ニゴ(これください)」。つまみかじった広東語で指さす。

セイロお運びさんはおもむろに小さな白い物体を散らしてから渡してくれた。

「えっ何だろう」「マシュマロ?」「まさか」。

言いながらハフハフ、口に運ぶ。あ、ミニ饅頭だ。くーっ、憎いなぁ。汁に浸していただこう。

やっぱりえらいな、中華は。なじみがあるせいだけじゃない。さりげない味わいすべての完成度が高すぎてうなる。3000年の歴史にひれ伏そう。

8:16、お会計。

5人で14皿を頼んで842ドル(1万円)だった。そのうちお茶代が120香港ドル(1500円)。さすが老舗だった…。

10:00、ビクトリアピークへ。

ピークトラムに乗って山頂へ向かう。もう何度乗っただろう。摩天楼を見下ろしながら風に吹かれる。いつ来ても香港は活気があっておいしくて。やっぱり大好きだな。

13:15、CX564便、香港〜台北〜関空へ。

台北からの機内で渡されたベビーグッズがよかった。おむつ2枚、赤ちゃん用の保湿クリーム2種の試供品がメッシュ入り袋に入れてあった。

行きの関空〜香港便は遊び道具の詰まったリュックだった。

香港〜オークランド瓶ではベビーフードの瓶を6瓶もゴロンと渡された。

同じ航空会社でも便によって全然、違うのが面白い。

翌朝10:35発、peachで福岡へ。

1時間のフライトは満席だった。何と言っても片道5505円はありがたい。

機内で「オリジナル濃厚ピーチアイスミルク350円」を注文しようと思っていたのに、雲の上の陽だまりに抱かれてウトウトしてしまった。

気付いたら「まもなく閉店いたします…」のアナウンスが流れていた。

「日常だー」。

2週間ぶりに久留米に戻った姉は言った。

うーん、私はどうだろう。どこでも日常のような、旅のような。