ヒンディー語づかいのノリコさんが水曜日、通訳として来てくれた。
2度のインド留学をへて昨秋から子連れで移住、デリーで「和菓子天」をオープンさせた。
彼女は工房の引っ越し真っ最中だった。おまけにお腹をこわした直後という。手伝ってくれること、心から感謝しよう。
コックのロッキーさんにインタビュー。
インド・西ベンガル出身のネパール人で、18歳のころムンバイに出て料理の道に入った。ホテルの厨房で皿洗いや野菜切りをして下積みを重ねた。
海軍の食事づくりを担い、船つきのコックになったこともある。7年前からデリー圏にやってきて、私立学校のコックに。このプレスクールで給食づくりを任されて4年目という。32歳、6歳の女の子のパパでもある。
得意料理は?「バターチキンです。このスクールは菜食なので、作れませんが」。にっこり笑った。
アーユルヴェーダ(インド伝統医学)も学んだそうだ。
「子どもは消化する力が弱いから、スパイスは最小限に。シンプルな材料でシンプルにつくる」。
スパイスは私にはたくさん使っているように見えるけれど…これでシンプルなんだな。
★水曜日
10:30 おやつ: ベジタブル・キチュリ(野菜おじや)
13:00 昼食: ミックス・ダル、シーターファルのサブジ、ご飯、ロティ(チャパティ)、サラダ、ライタ。
15:30 おやつ:スイートコーン、17:00 おやつ: スージ(セモリナ粉のおやつ)
キチュリ=カレーおじや。
ノリコさんが言った。「ああ、キチュリ、やさしいですよね」。おなかをこわしたばかりだからちょうどいい。ひとさじいただいた。あ、本当に。無理なくおいしい。
作り方は…。
油とギー(上澄みバター)を熱してクミンシードを入れる。パチパチっと弾けたらタマネギ、トマトを炒める。クミンパウダー、ターメリック、塩、ゆでておいたコメ、マスル豆(レンズ豆)、ムング豆(緑豆)、刻んだニンジン、コリアンダーの葉を加えて出来上がり。
シーターファルのサブジ=インドかぼちゃのドライカレー。
インドかぼちゃ1.5キロは角切りにして水にさらす。大豆油を熱したらコリアンダーシード、アジュワン、クミンシード、フェンネルシード、ヒングパウダーを加える。
みじん切りのタマネギ4個分、かぼちゃ、ショウガとガーリックペーストを入れて炒める。ふたをして蒸し煮にし、仕上げに塩小さじ2分の1、ターメリック小さじ2分の1、刻んだトマト3個分(250g)を混ぜる。
ノリコさんに訊いてもらった。インドかぼちゃの替わりに、たとえばジャガイモでもOKですか?
ロッキーさんは笑って言った。「ノー」。スパイスが野菜によって異なるから、ダメなのだそうだ。そっか、そうだよね…。やっぱり奥深い。
インドかぼちゃの料理としては、スパイスの替わりに黒砂糖だけを入れるレシピもあるのだとか。「グジャラート風です」。へえー。
ライタ=ヨーグルトサラダ。
ヨーグルトを水で薄め、からいりしたクミンシードを砕いて加える。トマト、キュウリ、ニンジンを入れればOK。
★木曜日
10:30 おやつ: ブレッドロール
13:00 昼食: プーリ・アルー、ご飯、サラダ、キール。
15:30 おやつ:マサラ・イドリ(南インドの蒸しパン)、17:00 おやつ:バナナマフィン
ブレッドロール=カレーパン。
ふかしたジャガイモをマスタードシード、クミンパウダー、ショウガとニンニク少々で味つけし、コリアンダーの葉を混ぜる。
全粒粉の食パンをぬらしてから両手でおさえてしっかり水けを切り、まるめた具を包んで揚げる。
あー、ホクホクしてほっぺたが落ちそう。「バリアーヘィ(すばらしい)」。ノリコさんに教わったヒンディー語でロッキーさんに言う。喜んでくれた。
揚げたてを真っ先にいただいちゃって、子どもたち、ごめんなさい。
キール=ミルクがゆ。
牛乳1リットルにグリーンカルダモンパウダー小さじ1、バスマティ米100g、砂糖200gを入れて炊く。仕上げに生ココナッツ、アーモンドを砕いて散らす。
ココナッツのサクサクした歯触りがいい。これが「アッチャーヘィ(おいしい)」と言えれば、インド一人前だろうな…。
プーリ・アルー=ジャガイモカレーの揚げパン添え。
やったー、大好物の南インド料理だ。きっとインドの子どもたちも、献立表に「プーリ」を見つけたら、ワクワクしてランチを待っているに違いない。
ジャガイモ20個を圧力鍋で蒸し、皮をむく。熱した大豆油にアジュワン、コリアンダーシード、クミンシード、赤唐辛子3本、マスタードシード、ヒングパウダー、カリカタという葉っぱを入れる。
みじん切りのタマネギ8〜9個分、ギー大さじ4、ショウガとガーリックペースト8個分を混ぜる。ざく切りトマト8個分も炒める。
レッドチリパウダー少々、コリアンダーパウダー、クミンパウダー、「キッチンキング」というミックススパイスをそれぞれ大さじ2、ターメリック小さじ1を混ぜる。
ジャガイモを入れ、水をカップ1ほど加える。
仕上げにコリアンダーの葉、ガラムマサラ大さじ2、塩大さじ1を混ぜて強火でぐつぐつ煮る。
チャパティを揚げてぷっくりふくらんだアツアツのプーリに添えていただいた。
やさしくて、でもぼやけず主張のある辛さにしみじみする。
2歳の丁稚ケイは毎日、すべて平らげているようだ。きっと「スパイス勘」が鍛えられているな。ヘタなカレーを作ったら「カーチャン、クミンが足らんよ」とそのうち、言われるかも。