ニューヨークとケベックでメープルの森を訪ねた。メープルといえばシロップ…だけじゃない。 あちこちで見かけたメープル七変化を紹介します。森の恵み、さあ召しませ。
メープルシロップのレシピ集(A5大102ページ、8ドル)
ニューヨークのフロストバレーYMCAで購入。75以上の農家の85のレシピが載っている。目次はなく、ざら紙にタイプ打ちされたようなレトロっぷり。料理本好きにはたまらない。
ペラペラめくりながら砂糖小屋のスタッフで、カナダ・トロント出身のヘザーに訊いた。メープルシロップ、どうやって食べるのが好き?
彼女の返事は「メープルがけのオートミールがゆ」だった。なじみがないな…と思いつつ、ケベックの宿で丁稚ケイの離乳食がわりに注文した。彼はパクパク食べている。へーえ、おいしいんだ。
おかげで丁稚ケイの朝食の定番になった。たっぷり牛乳で5分ほど煮て、少しだけメープルシロップを垂らして、あればバナナをつぶして入れるだけ。
健康を考えたオヤゴコロ仮面をかぶりつつ、実は何より作るのが簡単だからなのだった。
ヘザーの母はニンジンのメープル煮をよく作ってくれたという。レシピ本にも載っていた。「メープル・グレーズド・キャロット」。薄切りにしたニンジンを蒸してバターをからめ、メープルシロップとショウガを加え、仕上げにメープルシュガーを散らす、とあった。試してみよう。
YMCAに案内してくれたケーコさんは「簡単メープル・プリン」を紹介してくれた。小さなボウルに全卵に同じ量ほどの牛乳を混ぜるだけ。
そのまま湯せん蒸しする。ぷるるんと少しかたまれば、メープルをかけて食べるそうだ。おいしそう。
氷上メープル・タフィー
ケベックのメープル小屋「シュクルリー・ド・ラ・モンターニュ」で、早春の風物詩を体験した。タフィー(キャンディー)にするにはシロップを110℃まで煮詰める。
この道20年の砂糖職人シモンが雪に見立てた氷の上に垂らしてくれた。 木のヘラでからめ、すくいとる。硬くなっては台無し…と大急ぎでヘラを回す。シモンに笑われた。「もう少しゆっくり。固まりかけてから」。焦るな焦るな。氷がシャリシャリと濃厚なシロップに混じる。かき氷みたい。
メープルバター
メープル小屋「シュクルリー・ド・ラ・モンターニュ」の土産店で購入。砂糖職人シモンにウィンクされた。「私が作ったんだよ」。 バターとあるがバターにあらず。メープルシロップを煮詰め、よくホイップしたものをさす。トーストやスコーンにたっぷりと。
メープル塊(10カナダドル=820円)
メープルだましい、と誤読したくなるほど見た目も力強い。小屋「シュクルリー・ド・ラ・モンターニュ」のレストランで購入。テント生活だった先住民は、煮詰めたシロップをレンガみたいにかためて持ち運んでいた。16世紀からの知恵のかたまり、チーズおろしで削ってみよう。
メープルシロップがけピーカンナッツ(113g入り、4.75ドル)
シアトルのオーガニック生協PCCのPB(プライベート・ブランド)商品。インド滞在歴5年の相方ユウさんに何の説明もせずに渡した。彼は言った。「インドの味がするなぁ」。
あのーシアトルで買ったんだけど…。私も私も。口に放り込む。ピリリッ。あ、パンチが効いている。甘さは1秒後やってくる。 原材料はピーカンナッツにオーガニックメープルシロップ、塩、そしてオーガニックのカイエンヌ・ペッパーとあった。なるほどね。スパイシーで歯ごたえはサクザクして心地いい。ほどよい「嫌味」が通じる大人だけに向く味かも。
メープル入りアーモンドバター(454グラム入り、3.65ドル)
PCCで購入。Justin’sは「ナッツバター」のブランド。アーモンドバターというとなじみがないけれど、ピーナッツバターマシンに並び、量り売りでも売っていた。
アーモンドバターにメープルシュガーが入っている。ピーナッツバターよりもコクがあって、甘さは思いのほか控えめ。メープルシュガーのおかげか、くどくない。ホウレンソウなどゆで野菜にからめてもおいしそう。
量り売りメープルシロップ(317g、6.29ドル)
シアトルの高級スーパー・セントラルマーケットの量り売り(Bulk Foods)コーナーで購入。パンケーキにかけようと親指で栓を開けるとプシュー!ぼう然…ひゃー、止まらない。
シロップが噴水のように泡立ってシュパシュパ漏れてしまった。おかげさまで3分の1ほど流失…。 ベタベタのテーブル、指でちゃっかりぬぐったけれど。その後も開けるたびにシュポッ!と音がしてヒヤヒヤする。
メープルのプロ、チカコさんに訊いた。答えは簡単だった。「それ、発酵してるんじゃ」。そうか、常温で保存というのがいけなかったか…。
瓶入りメープルシロップ(14.95ドル)
しゃれたインテリア・家庭用品チェーン「クレート・アンド・バレル(Crate&Barrel)」で購入。コルク栓にロウをかけてある。
えいっ、えいっ。顔を真っ赤にして引っ張ったけれどビクともしない。どうやればいいんだろう。
インテリアチェーンだけあって、永遠のインテリアが狙いなんだろうか。開かずのメープルと化してしまいそう。こちらも「求む開け方」。
メープルマスタード(240g、4.99ドル)
シアトルの購入スーパー「セントラル・マーケット」で購入。カナダのマスタードブランド・KOZLIK’S製。マスタードに酢、メープルシロップ入り。
甘酸っぱさとマスタードの辛み、無理やり感がなくておいしい。鶏肉を漬け込んで焼いたり、ゆで野菜にからめたりして楽しめそう。 塩味クラッカーに混ぜ込んで焼いてみたい。うーん気に入った。シンプルなラベルも上品で、お土産にもいい感じ。
メープルとピーカンのスナック(113g、3.29ドル)
SAHALE社製。お刺身に醤油、サンマに大根おろし、ピーカンにはメープル、なのだった。ねっとりとしたドライフルーツが引き立て役になっている。
ピーカンナッツにくるみ、チェリーにリンゴのドライフルーツに、シナモンとメープルがからむ。シナモン味もメープルになじむなぁ。