ドイツ人アーニャ宅を訪問。
フリーランスのドイツ語翻訳家として活躍している。英国人のパートナー、愛犬ミチと暮らす。
ニュージーランドへは20年前、やってきた。
30年前から菜食主義に。
ドイツ・ボンでの学生時代だった。彼女の母は心配した。「そんな不健康な!」。そういう時代だったんだな。
窓いっぱいの庭が見える素敵キッチン。
おまけにテディベアの取っ手、カバのお尻のマグネットに怪獣みたいなオーブン・ミトン…遊び心がひそんでいる。
「ドイツ人の台所としてはダメね」。アーニャは照れ笑いした。
「キウイ(ニュージーランド人)は控えめだから、言わないけれど…。ドイツ人なら<この壁の緑、ヘン>とはっきり言うでしょうね」。
あはは、そんなことはないと思うけれど。
ドイツのジャガイモお焼き「ライベクーヘン」。
「すりおろしたケーキ」の意味の名物で、リンゴをコンポートを添えるのがお約束なのだとか。ビールのアテにもなる。
コンポートには砂糖を加えてもいいけれど、「リンゴによるわね」。
アーニャはグラニースミスと「パシフィックビューティー」という素敵な名前のリンゴを使った。
おーい、ポテトケーキが焼けたよ、おいでー。
連れてきた甥っ子ユウとリョウを呼びに行く。居間で遊んでいたはずなのに姿がない。あれ、どこ。
リョウがソファの後ろから顔をひょっこり出した。
あれ、そんなところで。かくれんぼしていたの? 泣きべそをかいていた。
ミチが怖くて、台所に行けなかったらしい。ミチは10歳、おとなしい。人間ならおじいちゃんなのに。
「まだボーイよ」。アーニャが笑った。そうだね、トシは関係ない。
家族でポテトケーキ競争。
食べながら思い出を聞いた。
「おばあちゃんが焼いてくれて…。いとこたちと何枚食べたか争ったわ。最低3枚は食べたわね」。
何だか新年のお餅みたいだな。私たちもお餅を何個、食べたかを自慢した。
そういえばアーニャの作るポテトケーキ、小1の甥っ子ユウとリョウも争って食べていた。
「ボクが3枚、食べたと」。ユウが言う。「ボクも3枚食べた」。リョウが甲高くなってきた声を張り上げた。
不思議、いわれを知らなくても張り合っているなんて。
食べやすいサイズのなせるわざか、素朴なドイツの味だからか。
ヒンベア・クワークは…。
文字通り「キイチゴチーズ」だった。ドイツの食卓に欠かせないチーズ「クワーク」を使う。
仕上げにアーニャはアガベ(リュウゼツラン)・シロップを少し垂らしていた。
水切りヨーグルトと生クリームで代用して、手に入りやすいイチゴで作ってみよう。こうなると「ヒンベア」でも「クワーク」でもないか…。
氷を浮かべたキュウリの冷製スープ。
キュウリをおろしたら、ヨーグルトをたっぷり注いだ。へーえ、キュウリにヨーグルト…。顔面パックにできそう。
食べる前の違和感はたっぷり入ったディルが消した。ディルと氷がおいしさの秘密だな。
コーン・フリッターにサワークリームのディップ。
レシピは「よくあるものよ」と言ったが、サワークリームのディップを添えるのはアーニャのアイデアだった。さわやかで夏色フリッターによくあった。
庭のテーブルでいただいた。いま思い出しても夢みたいだった。
☆ライベクーヘン (直径8cm7〜8枚)
じゃがいも 4~5個(500g)、卵1個、薄力粉 大さじ4、塩 小さじ2分の1、サラダ油 適量
1. じゃがいもは皮をむく。フードプロセッサーかおろし金でおろす。
2. 卵、塩、薄力粉をスプーンで混ぜる。
3. フライパンにサラダ油を入れて熱し、大さじ2ずつぐらいタネを落とす。中火で2~3分焼いたらひっくり返す。両面にこんがり焼き色がつけばOK。
☆リンゴのシナモン煮
リンゴ 2~3個(600g)、リンゴジュース 200g シナモン 少々
1. リンゴは皮をむいてイチョウ切りにする。
2. 鍋に材料すべてを入れ、強火にかける。煮立ったら中火にして20分ほど。やわらかくなればOK。
☆キュウリの冷製スープ(4人分)
キュウリ 3本、プレーンヨーグルト 200g、ディル 7~8茎、牛乳 100g
1. キュウリは千切りにする。ディルは刻む。
2. ヨーグルト、牛乳、塩を加えてよく混ぜる。
3. 氷を浮かべてどうぞ。
☆コーン・フリッター(直径8cm、6枚)
卵1個、水 大さじ2、クリームチーズ 30g,トウモロコシ(粒、缶か冷凍でOK)100g、薄力粉 50g,塩 小さじ3分の1、サラダ油 適量
1.薄力粉とベーキングパウダー以外の材料を一緒にボウルに入れてよく混ぜる。クリームチーズは大まかにつぶれればOK。
2.薄力粉、ベーキングパウダーを一緒にふるい入れる。
3.フライパンにサラダ油を熱し、生地を大さじ2ずつ落として両面こんがり焼く。
<メモ>
アーニャはフェタ・チーズで作ってくれました。
☆サワークリームのディップ
サワークリーム 大さじ3、生クリーム大さじ2、刻んだチャイブ(なければ細ネギかあさつき)大さじ3
1.材料すべてをよく混ぜる。コーンフリッターやサラダに添えてどうぞ。
☆いちごクワーク(4人分)
いちご 1パック(300g)、プレーンヨーグルト 400g、生クリーム 100g、メープルシュガー 大さじ2
1.プレーンヨーグルトはコーヒーフィルターか、ざるにキッチンペーパーを敷いた中にあける。1時間以上、おいて水けを切る。160〜200gになる。
2.へたをとったイチゴ、水切りヨーグルト、生クリーム(泡立てずそのまま)、メープルシュガーを混ぜる。スプーンでイチゴをあらくつぶす。
3.30分以上、冷やしてどうぞ。