インド・デリー郊外に雨季。
45℃を超える暑さは去った。ホッとする。35℃、覚えのある湿った空気がまとわりつく。
一晩、干しても洗濯物が乾かなくなった。分かりやすっ。
2〜3時間でバリバリに乾いていたのに。「45℃のほうがいいですよ、カビや腐敗が心配だし」。
在住半年になるトモコさんが言った。
そうかな、45℃より想定内、日本の梅雨と思えば乗り切れそうな…。
思っていたが甘かった。たいして降っていないように見えたので車で外出する。
道が川に。
アチャー。立ち往生する車、ヒザまで浸かりながら自転車を押す男性、それでも2人乗りしているバイク…。
な、何も考えていない道路計画…。
丁稚ケイ、20日で2歳に。
京都で生まれ、東京で育ち、インドに渡ってきた。好物はヤクルト、車、靴、アンパンマン。ヤクルトは一度に5本も飲む。
やらないと騒ぐのでつい…。ことなかれダメ母の本領発揮じゃー。
誕生日ケーキは、やっぱりイチゴ。
「日本人ならイチゴショートでしょう」。
スイス・ジュネーブ在住の友トシさんの言葉を思い出す。
パートナー・ナオミさんのためのイチゴショートづくりを持ちかけられたのが1年前だった。
ついでにケイの1歳祝いも作ろう。ジュネーブの台所を借りてスポンジを焼き、スイス産イチゴをくるくる巻いた。
ローソクを立て、ハッピーバースデーを歌ったっけ。
海外暮らしが長いトシさんたち、でもやっぱりイチゴショート、なんだな。海外にいるからこそ、私もこだわろう。
インドの6月、イチゴはない。
バンコクで見つけた。スーパーにアメリカ産イチゴが並んでいた。やったー。
2パック買った。ケイがめざとく見つけた。大好物なのだった。
「イッチー、イッチー」。もう欲しがっている。ええー。誕生日にとっておこうよ。
そう言ったが分かるわけもない。みるみる半分、減って行った。ひー、もうやめて。
せっかくのイチゴ、インドで初「おやつレッスン」に使いたい。
ケイのためには5粒だけ残しておいた。直径8cmほど、小さなイチゴショートを作った。
サブレに「おめでとう ケイ 2歳」と仏語で書く。
3歳はどこで迎えるのかな。インドだったらまた、イチゴを買いにバンコクまで行くか…。
記念ディナーは。
1歳の誕生日は銀座・資生堂パーラーだった。
主役のケイは眠ってしまい、お子さまランチもイチゴののったアイスも私が食べてしまった。
資生堂パーラーはないが、ちょっとおめかして出かけよう。
プール帰りにレジデンス内にある美容院へ入った。東京で散髪屋さんに連れて行ったら暴れて切ってもらえなかった。大丈夫かな。
プール後で眠かったのだろう、ふてくされたような顔をしつつ、おとなしく切られていた。ホッ。230ルピー(460円)。
サルから少年ぽくなった。
相方ユウさんは髪を切り、白いシャツを着たケイを見て言った。
「やあ、ショウタローくん!」
だれそれ?「知らないの、鉄人28号に出てくる少年探偵」。昭和やな…。
ディナーは近くのホテルの北インド料理店へ。
揚げなすカレーが絶品だった。ケイには辛すぎた。資生堂パーラーに続き、失敗だったか。
シタールの演奏が流れる。あ、聞き覚えのある曲だな。
「涙そうそう」だった。会いたくて 会いたくて…。
7カ月前に逝った母を思い出す。ぐっときた。お祝いの席なのに。
ケイは天国にいる両親の生まれ変わりだな。そばに笑顔があること、心から感謝しよう。
病院で「鉄分不足」と指摘されたのが気になっている。
紅茶で煮たプラムはどうだろう。
京都の友マユさんから5年ほど前、もらった紅茶煮のドライフルーツがおいしかった。レシピを参考に作ろう。おいしいマサラティーでさっと煮る。
ケイは手づかみで食べ始めた。あーあ。
生傷が絶えないやんちゃ坊主、「魔の2歳」の言葉を実感する。ふー。ま、元気なら何でもいっか。
☆プラムの紅茶煮
ドライプラム150g、砂糖50g,水300cc、紅茶の葉 小さじ3(6g)
1.鍋に水と砂糖を入れて沸騰させる。砂糖が溶けたら火を止める。ティーバッグに入れた茶葉を入れ、2~3分置く。
2.プラムを加え、中火で10〜15分ほど煮る。
3.プラムがシロップを吸ってふっくらとしてきたらOK。
<メモ>
・プラムだけでなくドライフルーツなら何でもOKです。煎ったナッツ、オレンジピール、ゆずピールなどを入れても。
・紅茶はマサラティーなどスパイス入りのものがお勧めです。
・ヨーグルトに添えたり、ケーキに焼き込んでみてください。
☆メープルシュガーでつくったら
砂糖をメープルシュガーにします。さらっとした仕上がりです。