はじめまして!

メープルシュガー

カワムラケンジともうします。スパイスを相棒にもつ料理人ライターです。

といってもインドマニアではありません。ごくごく普通の中流家庭で生まれ育ち、いまもって遊びも仕事も中庸です。

このように僕にはこだわりがないため、常に優柔不断です。結局、枠にはめることができないので、ある頃から料理研究家だなんていわれることが増えました。僕好みの中くらいの感じがするいい言葉だと思いました。

精神的に最も影響を受けた国はスペインとハワイ。技術的には西洋料理と大衆中華。味的には中国料理全般と日本。こんな状況ではとてもカテゴライズできませんもんね。

そんなことでインプットの量が多い分だけ、アウトプットの量もとてつもなく多いです。今までお客様にお出しできたメニューは、おそらく全体の10分の1もないと思います。お客様とは店(*1)のお客様であったり、レシピの依頼をしてくださる企業や雑誌社であったり。

そこで、お客様に提供するために、過去の資料をいろいろと整理していたところ、ふとスパイスの存在に気がついたのです。僕の殆どの料理の鍵となっていたわけです。

数えたことなかったんですけど、常々いろんな人から何種類?と聞かれるものだから最近は半年に1度くらいのペースでスパイスの種類を数えています。すると、どうやら60〜70のあいだを行き来している模様。スパイスの問屋に聞けば、種類も量も個人客ではカワムラが圧倒的なんだとか。

先述の通りマニアではありませんから収集癖とかそんなの欠片もないです。まったくその逆の性格の僕が、唯一中庸とはいえないのがスパイスの世界だったということになります。データ化することもなく、今までただただ、人や食への興味だけで歩んでまいりました。怖いですね、人間の熱というものは。

そして気がつけば、またまた新しい仲間が増えていました。それがメープルシュガーです。

ええ、もちろんこれはスパイスとしては扱われていませんが、その正体は楓という樹木で、 それを人間たちがほじほじして、ゆっくりと溜めた蜜のドライ状のものがメープルシュガーなんだと知ったとき、ははぁこれはスパイスだな、と感じました。スパイスって結局、自然界にあるものを何かしらの方法で保存できる形にして、料理や薬としているわけですから。

そういう流れで見ていきますと、料理法もおのずとスパイス的になって、すなわちそれは無限化してしまうわけです。

あぁヤバイかも  ってもう遅い。
僕の好奇心は僕の脳よりも動きが早いです。というわけで、プロローグを終えてさっそくメープルシュガーと戯れましょうか。

*1)カワムラが今までプロデュースのお手伝いをしたり、自らが経営してきた店のこと。全国10店舗以上。現在経営している店はありません。