蕎麦屋のあま〜い創作 その二★

しゃかしゃかとパワフルに卵黄とメープルをかき混ぜ最後にメープルシュガーをそのまま生地の上にぱらぱら店主矢田さんの娘さん
蕎麦シフォンケーキ
ランバージャックシフォン

(前回に引き続き、関西蕎麦ルネサンス「拓朗亭」の厨房から)

店主矢田さんの娘さんのさや香さんは、拓朗亭の歴史そのものと言えます。

僕が通いだした頃は、まだオーバーオールが似合うほっぺの赤い女子でしたが、今はお父様に突っ込みを入れるほど立派なお嬢さんとなられました。だから店でもなかなかの存在感を放っております。

店の主柱となる生粉打ち(キコウチ。十割の蕎麦のこと)をはじめ、枠にとらわれないアミュージング&ワイルドな展開のひとつにスイーツがあると前回書きましたが、実はこれ、さや香さんが活躍するフィールドなのです。

今回は拓朗亭蕎麦会席などでお目見えする、蕎麦シフォンケーキをメープルアレンジしていただきました。

しゃかしゃかとパワフルに卵黄とメープルをかき混ぜ、メレンゲとあわせたらケーキの型にちゃっちゃっと流し込みます。

そして最後にメープルシュガーをそのまま生地の上にぱらぱら。
なんですか、それ?と聞くと、くるっと振り返って冷蔵庫からシフォンが登場。本日の午前中にも焼いてくださっていたわけですね。さすが蕎麦屋の娘さんです、リズム感と手際がワンダフル。

で、そのシフォンの表面をよく見ればプチプチとなっているのです。食べてみると、これがなんとも心地よいぷちぷち感と香ばしさ。

1日経つとメープルは染みこんでしっとりとしてしまうらしいんですが、焼きあがってしばらくの間はクリスピーかつメープルの豊かな風味が湧き出てきます。生地は蕎麦粉を使用しているからスポンジも素朴な味わい。見事な森と畑のコンビネーションでした。

親も凄いが子も凄い〜と僕は感嘆しながら腕を組みます。そして僕ならどんなスパイスを使うだろう、などと考えていますと、すーっと奥から矢田さんがボールをもって現れました。

で、矢田さんは何も言わずにシフォンの上に、前回作った「貴婦人のトロ〜ント」をゴムベラでべちょ〜〜〜。
おっと、なんとメープル二段重ねの術です。

贅沢な味わいの重なりに女性スタッフが声を上げます。
「きゃ〜シフォンに雪が積もったみたい〜かわい〜おいし〜!」

それを聞いた矢田さんは一瞬メガネの奥を光らせた後こうつぶやきました。

「よし、名前を決めたで。木こりや。そう、ランバージャックシフォンや!」

親子が二人で静かに頷いています。僕たただただ驚嘆するばかり。脱帽ですっ!

☆With メープルシュガーレシピ11
『ランバージャックシフォン』

直径15センチほどの紙のシフォンケーキ型を使用
(以下のレシピで4個できます)

卵黄        4個分
卵白        4個分
メープルシュガー  90g
蕎麦粉       130g
ベーキングパウダー 4g
サラダ油      60cc
ミルク       60cc

*準備
オーブンを前もって温めておく。180度

1.蕎麦粉は2回篩いにかけておく。
2.玉子は卵黄と卵白にわけて卵白は冷蔵庫に入れておく。
3.ボールに卵黄とメープルシュガー80gをいれて攪拌する。
4.よく混ぜ合わせたら油を入れてさらによく混ぜる。
5.次にミルクを加えてよく混ぜる。
6.そば粉とベーキングパウダーを投入してよく混ぜる。
7.冷やしておいた卵白を取り出しメレンゲを作る。
8.出来上がったメレンゲを(6)の生地に3回に別けて投入する。あわ立てたメレンゲがつぶれないように手早くざっくりと。
9.生地を型に入れた後、残りのメープルシュガーを上から振り掛ける。
10.オーブンで焼き上げる。約25分。
11.メープルのアイスクリームと共に食べると絶品!