蕎麦屋のあま〜い創作 その三★

小さな鍋にメープルをどさっと入れて卵白を泡だて器で撹拌シロップを上からとろ〜りとかけて
上からメープルとろ〜り シュワシュワのオムレツ
そばプリン あら…メープル

前回は娘さんのさや香さんが、蕎麦粉とメープルのシフォンケーキを作ってくれました。
メープルのぷちぷち食感を頬張りながら店主矢田さんがつぶやきます。

「ふむ、つぶつぶときたら、お次はふわふわか…」

そういったかと思うととっさに動きだしました。まずは小さな鍋にメープルをどさっと入れて水を加えて沸かします。厨房内にメープルの上品かつ深いコクのある香りが一気に充満。鍋の中は黄金色の液体となりシロップができあがりました。

お次はボールの中に玉子4個をいれて白身と卵黄を別けます。そして卵白を泡だて器で撹拌し、きめの細かい泡を作り、残った卵黄も撹拌し、先の卵白の半分を加えてざっくりと混ぜます。

で、残りの卵白は蕎麦粉とあわせて、最後には全部をざっくりと混ぜ合わせてしまいました。実にうまそうな綿のようなクリームの誕生です。

しかし、これをいったいどうするのか、と思っていますと、なんとフライパンの登場です。火をつけてバターを落として解けたその瞬間、綿クリームをすばやく流し込んでカタカタカタカタ・・・・・・。

フライパンを揺すりながら箸で一気にかき混ぜまて、あっという間にオムレツの完成です。そして仕上げに先ほどのシロップを上からとろ〜りとかけて出来上がり。ホットケーキならぬ、ホット蕎麦オムレツだっー!

食べてみると、メープルの上品な甘味がぶわっと広がり、その直後にしゅわ〜と音を立てながらオムレツが解けていく〜!

手打ち蕎麦屋の厨房とは思えない光景とアロマです。実は矢田さんは若い頃ホテルの洋食にいらしたことがあります。その後、縁あって蕎麦をはじめとする和食の世界に転じました。この幅の広さというか奥の深さというか意外性がたまりません。

女性スタッフがスプーンを手にしてぺろり。
「あ〜ん、シュワシュワで、とろけるぅ〜!」

それを聞いた矢田さんが、腕を組みながらこういいました。
「よし、名前を決めたで。滝や、ナイアガラフラッシュや!」

その後も、蕎麦プリンにメープルカラメルをかけた『あら…メープル?』、蕎麦とヨーグルトのアイスクリーム『メープルストリート1115』、蕎麦豆腐のメープルシロップがけ『ロッキーを望む〜カナダへ行こうか蕎麦屋の豆腐』など、奇想天外な作品と腕を組みながらの命名が連発。もう誰にも止めることができません。

「お父さん、せっかく美味しいのん作ったのにみんな黙ってしもたやん!」(さや香さん)
こうして矢田さん親子の手により、蕎麦とメープルが深い絆で結ばれていきました。

おわり

今回カワムラとしては、美味しいやら、でもスパイスが参入するきっかけを失うやら、の終始圧倒されっぱなしの複雑な心境でした。本当、またまたたくさんのことを勉強させていただきました。今後このブログにも活かしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!

『拓朗亭』
京都府亀岡市安町小屋場77-3 0771-24-4334
11:30〜14:30 17:30〜20:00 火曜定休・不定休
 
☆With メープルシュガーレシピ12
『ナイアガラフラッシュ!』
卵黄       2個
卵白       2個
バター      10g
粗挽きそば粉   15g
シロップ
メープルシュガー 100g
水        60cc

1.メープルのシロップを作る。鍋に水とメープルシュガーを加えて煮るだけ。
2.メレンゲを作る。卵白を角が立つまでかき混ぜる。
3.そば粉を篩いにかけておく。
4.卵黄をよく混ぜる。メレンゲを半分だけ加えて軽く混ぜる。
4.残りのメレンゲにそば粉を入れる。
5.(3)と(4)をざっくりと混ぜる。メレンゲの泡が潰れない程度に。
6.フライパンを温めてバターを入れて、すばやくふわふわのオムレツを作る。
7.皿に盛り付け、シロップをかけたら出来上がり。