大阪のライター・ハルミさんが4年間、一緒に暮らしたというライラ宅にお邪魔した。
彼女は湖の見える自宅で一人暮らしを続けている。クロスワードを楽しんでいるところ、笑顔で迎えてくれた。
湖の見える部屋で。Just happy !
とても98歳とは思えない。声もしっかり、何より愛くるしい笑顔が素敵で、ぎゅうっと抱きしめたくなった。
健康の秘密は?ライラに問う。大きな声が返ってきた。「Just happy !」。ジャスト、ハッピー。思わずオウム返しに言った。シンプルで強い言葉だな。涙が出そうになった。ただ幸せを感じるって、どんなに難しいか。
思い出のテネシーワルツ。
98歳のライラおばあちゃんが16歳で結婚した。彼女はテネシーワルツの歌詞そのままのエピソードの持ち主という。夫となる人にはガールフレンドがいたけれど心変わりし、ライラを選んだのだとか。ライラいわく「ただほほ笑んだだけよ」。
ライラの息子ケンとリンダ夫婦がほぼ毎日、ライラ宅で世話をしている。
ケンの誕生日にリンダは毎年、ジャーマン・チョコレート・ケーキを焼くのだとか。台所で教えてもらった。
ジャーマン・チョコレート・ケーキは3層になったデコレーションケーキ。ココア生地のスポンジに、ココナッツ味のフロスティング(クリーム)を挟む。アメリカではスーパーでも買える。
「たいした理由はないわ。おいしいから」。
19歳で高校の同級生だったケンと結婚。3月で69歳になったケンのために、毎年、同じケーキを焼く。素敵だな。
スケールは使わず、何でも計量カップで量って焼くのがアメリカ流。
1カップは240mlで、2分の1、3分の1などが1セットになっている。レトロなオレンジ色がかわいい。
アメリカでは浅めの丸型3つで焼いて、クリームを挟む。
日本だと1個の型で焼いて、薄くスライスするのが主流だけれど、切る手間が省けていいな。
挟んだのはココナッツとピーカンナッツ入りのフロスティング。ケーキの周りにはチョコレートのフロスティング。なかなか凝っている!
愛情たっぷりのバースデーケーキには、真ん中に真っ赤なサクランボを1個だけのせるのがリンダ&ケン流。「周りに、たくさーんローソクを立てないといけないからね」。リンダがいたずらっぽくウィンク。
大きくカットしていただきます。素朴でしっかり甘いアメリカの味。
「この家で過ごせて、私は世界で一番幸せ」。大きな声で話してくれた。「ただ、あなたが幸せになることを選びなさい」。98歳の放つ言葉は、キラキラと眼下に見下ろす湖のように輝いている。