地上スタッフが「赤ちゃん連れ? 真ん中の席より端っこの席の方がいいでしょう」と、こちらから言わずとも通路側の座席に替えてくれた。気配りがうれしい。
私の安心感が通じたのか2時間のフライト中、丁稚は腕の中でグーグー。機内サービスはスターバックスのコーヒーとおつまみミックス。
サンフランシスコ国際空港でノリコさんが迎えてくれた。シリコンバレーの街パロアルトのお宅へ。
玄関にレモンの木が。ほとんど何もせず、たわわに実るのだとか。いいな。もちろん無農薬。レモンピールにしたい。カリフォルニアを実感する。
カリフォルニアの空の下、自由の風に吹かれて咲く。グッとくる。シアトルから追いかけてくれたのかな。また格別で、何とも言えない気分になる。
散歩しながらカフェテリアをのぞく。どこにでもあるサンドイッチや中華、ピザ、ヨーグルト、コーヒーチェーンが並んでいた。大学オリジナルグッズはたくさん売っていて「スタンフォードキティTシャツ」まであるのにカフェテリアは…。ううむ、「秀才を育てる学食レシピ」なんてあれば面白いのに。
かろうじてそそられたのは、勝手に命名すると「ベントー・ワゴンカー」だった。レントゲン車のような大きなワゴン車に乗り込み、ビュフェ式に並んだおかずを詰め、車を降りてから重さを測って精算していた。
午前7時、サンフランシコのレストラン「Skool」へ。経営者の1人・ヒロコさんがお店のデザート2品を紹介してくれた。
開店2年、週末は予約で埋まる人気店に。2店目は?と水を向けると「もちろん考えています!」と、きっぱり。かー、かっこいい、ほれた。
Skool
1725 Alameda St. SAN FRANCISCO, CA 94103
ヒロコさんと「サンフランシスコおやつ探検」はじまりはじまり。
まずは新聞でベスト・ドーナッツに選ばれた「ダイナモ」へ。イチゴとアールグレイの紅茶、レモンとタイム…変わりダネたちが10数種類並ぶ。一番人気というメープル・ベーコン・アップルを頼んでみた。3ドル(260円)。煮リンゴが混ぜ込まれたふわふわ生地にメープルの砂糖衣、ベーコンチップが載せられている。いかにも北米な感じ。塩気が効いて、耳ざわりほどの「へぇ?」感はなし。
「しょっぼい店なんですけどね」。ヒロコさんはそう言って、自分の宝箱を見せるみたいに案内してくれた。
「Kings Bakery Cafe」はラテン色100%、スペイン語しか聞こえないミッション地区にあった。雑多な空気と匂い、心地いい。ここも間違いなくサンフランシスコなんだな。
1個60セント(50円)。中にココナッツとカスタードっぽい「あん」が詰まっている。焼きたては最高なのだとか。お店を出るなり2人でパクリ。素朴でちょっとパサパサして、昭和のベーカリーのようななつかしさ。
ラテン系のお次はコジャレ系で。ヒロコさんを紹介してくれた東京の友人・ヨーコさんも大好きな「タルティン・ベーカリー」へ。2人が好きなブレッドプディングもおいしかったけれど、私的に「ビビッ」ときたのはレモンタルト。酸っぱさが明快で、くっきりはっきり。ザ・カリフォルニア。1個6.25ドル(530円)。
大人気のこの店、小さい店なのにちゃんとトイレにおむつ替え台と子ども椅子が置いてあった。素晴らしい。
Tartine Bakery&cafe
600 Guerrero Street San Francisco
何度も声に出して言ってみた。ハッピー・ドーナッツ。口にするだけでスキップしたくなる。24時間営業で近所の消防士さんが買いに来るような、昔からある典型的なドーナッツ屋さん。時が止まったようなたたずまいがいとおしい。オールド・ファッション・ドーナッツ1個0.95ドル(80円)。