スイス編[4]UNHCRでデモ準備&カフェテリア潜入

歩いてUNHCR本部へトシさんの頼んだアスパラガスのリゾットSweets for thougtsイベントの大ポスター

1スイスフラン≒83円

「1日1ヴァニラヨーグルト」、勝手にミグロVS.コープ。

スイス中にあるスーパー「ミグロ」のヴァニラヨーグルトは200gが2個で0.8フラン、コープはオーガニックで180g2個入り1.3フラン。

ヴァニラ密度、クリーミー濃度、いずれもミグロに軍配だな。物価高スイスだがヨーグルトとスパイスはお買い得だな。

午前11時半、歩いて20分、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)本部へ。

居候先シゲコさん宅を出る。暑い。国連欧州本部の前の噴水が上がって気持ちいい。
UNHCR勤務のトシさんを訪ねる。

写真入りIDカードを発行してもらって中へ入った。ガラス張りの吹き抜けが気持ちいい。

6月20日、世界難民の日。「おやつ」に何ができるだろう。

「カフェ・デュ・ソレイユ」での昨夜、フォンデュの海におぼれていた…だけではなかった。実は作戦会議だった。

「おやつデモ」を仕掛けよう。日本を出発する直前、1カ月前から話をしていた。ちょうど私の滞在中は難民の日にちなんだイベント週間という。

くしくも6月20日、丁稚ケイの誕生日だった。これも縁だな。

最終的にイベント許可が下りたのは1週間前、私がイタリア滞在中だった。

18日正午から午後2時、場所は1階のカフェテリアで。

おお、実現するんだ。単に和のおやつ、東北のおやつを紹介するよりもう一歩、場所にちなんだデモにしたい。

難民キャンプで配給される燃料節約型コンロと食料で「おやつ」作りに挑戦しよう。

トシさんが提案してくれた。パンやパスタ類を食べるアフリカだと、小麦粉、油、塩、砂糖、乾燥トウモロコシが「基礎食料」なのだとか。

「おやつなんて余裕はない」という批判もあるかも。でも「戦争が終わっておうちに戻れたら、甘いものでも作って食べたいね、という希望はだれにもあると思います」。国際援助のプロに励まされた。

何を作ろうか。卵もバターもオーブンも使わずに。

アフリカのおやつを習って披露しようか。トシさん、シゲコさんがアフリカ出身の同僚に聞いてくれた。揚げバナナやピーナッツキャンディー…基礎食料では作れそうもない。

「宮城がんづき」ならできるかも。

小麦粉と砂糖、水を練り、クルミをのせて蒸す。クルミをトウモロコシに替えたら…、思いもしない組み合わせだったけれど、意外にイケるかも。日本の震災のことにも思いをはせてもらえる。試作してみよう。

決まってからは早かった。トシさんはあっというまにチラシやポスターを作り、総務やセキュリティとの交渉を終え、スタッフの手配をした。ジェットコースターに乗っているみたい。ワクワクする。

UNHCRで打ち合わせ。まず燃料の携帯コンロを見せてもらった。

エタノールをしみ込ませて使う。しっかりしているな。

5人家族だと1日1リットルのエタノールが配給され、1日3食を煮炊きできるという。とりあえず実験してみよう。

正午、デモ会場になるカフェへ。

屋内は火が使えないため、椅子やパラソルの並ぶ屋外テラスでデモをする。

晴れたら気持ちよさそう。持ち時間は2時間、2、3回は実演して、用意した試食が配れるはず。

雨が心配だけれど、逆に本部の外に食べに出かける人が減るからいいかも。

もちろんランチをいただこう。サラダバー、大充実。

「日替わり定食」はハンバーガーとフレンチフライだった。ピッツァもおいしそうだけれど、生野菜をモリモリ食べたい。

サラダビュフェを品よく美しく盛れる人になりたい。むなしい夢は今日もあっけなく散った。ええい山盛り一直線だー。

デザートのムース・オ・ショコラとあわせて17.5フラン。

安くない。ここはスイス、仕方ない。ムース・オ・ショコラはまったりしているだけに見えて、クランチーな薄焼きサブレか何かがひそんでいた。サクサクッ。芸が細かいな。気に入った。

トシさんはアスパラとドライトマトのリゾット、12.5フラン。

量も値段も半分でいいのになあ。丁稚ケイに少し分けてもらった。コーヒーは2フランだった。

午後5時半、再びUNHCRへ。

1階ロビーでトシさんを待つ。大きな紙を抱えて降りてきた。

「いやー、Aゼロサイズにプリントするのに手間取っちゃって」。

Aゼロ!縦118センチ、横84センチ、「おやつデモ」を知らせる巨大ポスターだった。入り口の目立つところにベニヤ板を置き、貼り付けた。

イベント名は「SWEETS FOR THOUGHT」。

いいな、いいな、決まっている。素敵なイベント名、今後も何かで使いたい。

トシさん作、キャッチコピーもふるっている。

「難民配給食料がツナミの被災地・東北のおやつと出会う(Innovative cooking-Refugee food rations meet quake-tsunami hit Tohoku sweets from Japan)」。

すみっこに泡立て器とボウルを手にした私のイラストと「おやつ新報」へジャンプするバーコードデータが記されている。ぷぷっ、おかしい。

午後7時、ティールームでお茶を。

トシさんと老舗菓子店「Gilles Desplanches」へ向かった。黒にピンクの文字、美しいおそうざいやケーキ…ちょっとパリの「フォション」みたいだな。

ルバーブのタルトは5.8フランだった。コーヒーの欄に「ランベルセ(さかさま)」とある。何だろう。「カフェラテですよ。牛乳がコーヒーより多いから」。英仏語を自在に操るトシさんが言った。なるほどね。

またフォレノワールを頼んでしまった。サイズといい味といい、アルザスで食べたのよりずいぶん、おとなしい印象だな。日本っぽい。

スイス名物ビルヒャー発見、ブルーベリー味150g5フラン。

ローザンヌ近郊のナツミさんが言っていたスイス名物があった。ヨーグルトにミューズリーを混ぜたものという。

ヨーグルトとオートミールやナッツが何だか分からないぐらい、しっかり和えてある。

ちょっとぐらいサクサクした食感があったほうが私は好きだけれど…。

離乳食にはいいかも。丁稚ケイに回すのだった。

Gilles Desplanches 

モーベンピックのアイス、4.2フラン。

ホワイトチョコ味を選び、レマン湖の大噴水を眺めながら歩き食べする。

イタリアで食べたジェラートの2倍の値段だな。

でも薄焼きコーンは繊細だし、スプーンも使い捨てにするには惜しいほどしっかりしている。高いけれどモノはいい。スイスらしい。

週末は最後のイベント準備にとりかかろう。天気もいいし、エイエイオー。