スイス編[5]UNHCRおやつデモ試作&イチゴショート作り

スイスの週末は三つ編みパンジュネーブ名物、スズキの揚げ焼きポルトガル名物ナタ、エッグタルトポルトガル名物、ココナッツカスタードタルトポルトガル菓子店の店内ポルトガル菓子店でクリームパンのようなお菓子に出会う宮城がんづき、アフリカ難民バージョン1歳のバースデーケーキ、できあがりボサノバ調ハッピーバースデーを歌うトシさんちょっと早いけれどハッピーバースデー、ケイ!

1スイスフラン≒83円

午前10時、マノール百貨店で待ち合わせ。

シゲコさんとタクシーに乗る。10分ほどで20フラン。チュニジア出身の運転手さんだった。

トシさんと食料品売り場で落ち合った。フォアグラのテリーヌ、いまが旬のサクランボ、魚売り場ではお刺身にできそうなマグロも。どれもピカピカ、目がくらむ。おいしそう。

「じゃ、まず乾燥トウモロコシ、探しましょう」。

捜査班3人が散り散りになる。UNHCR本部カフェテリアで18日、開く「Sweets for thoughts」デモで使う難民配給食料のひとつだった。

おとといからスーパーで探しているけれど見つからない。ポップコーン用でいいのだけれど。「鶏のエサ用ならありますけれどね…」。トシさんが言うが、ちょっとねぇ。

「ありましたよ!」黄色の粒々が詰まった袋をシゲコさんが手にしている。スナック売り場にあったらしい。さすが。

最上階の食堂でお茶にする。コーヒー3フラン、スイスの週末定番、三つ編みパン1.6フラン。

「トレス」と呼ばれるパンはスーパーで専用の粉を見かけるほど。ふんわりしっとり、テカテカした感じといい、日本のバターロールそっくりだった。なつかしい。

Manor 

ジュネーブ日本語補習学校帰りのナツミさん、ユマちゃんとデート。

ベルエールのバス停で2日ぶりにあった。もう懐かしい。抱き合って喜ぶ。

午前9時から午後12時半まで、国語と算数の授業を終えたユマちゃんは腹ペコだった。スイス名物じゃがいもお焼き「ロシティ」を食べに行くのは止めよう。通りがかったカフェに入る。

日替わり定食が名物「フィレ・ドゥ・ペルシュ Filet de Perche」だった。

小さな魚のムニエルで、あっさりした味わいだった。ちょっとひなびたカフェも場末感たっぷり、なかなか味があってよかった。

近くのポルトガル菓子店、つつましやかな甘さ。

ナツミさんが友人から「おいしい」と聞いた店を探す。

ポルトガル菓子店「レピ・ドレ」だった。名物エッグタルトはマカオを思い出す。

プリンのようなフィリングはちょっと甘すぎるけれど、パイ生地がバリバリー、春巻きの皮みたい。歯ごたえ最高だな。

三角形の「Guarda napas」、3.9フラン。

「これも名物、ジェノワーズにクリーム入りだよ」。

店のお兄さんが自信たっぷりに言った。まぶされた砂糖もおいしそう。

三角形を3等分する。1辺にかぶりついた。パクリ。ナツミさんと目を見合わせた。「わ、クリームパンだ」「なつかしい」。

生地はふんわり、クリームはほどよい甘さ。昭和40年代から続くパン屋さんで売っていそう。帰ったら再現したいな。

「スイスで覚えたポルトガル菓子、なんてややこしいけれどね」。

外国人が半分を占める国際都市・ジュネーブならではじゃないだろうか。ナツミさんと笑った。

L’Epi Doré 

スイス定番おやつパックと、丁稚ケイの誕生日プレゼントを贈ってくれた。

大人用の椅子にかぶせ、子どもを座らせておける布だった。

「外出する機会、これからますます多そうだし」。心づかいがうれしい。

また会える。ちょっと安心感があるのはやっぱり親類だからかな。

ほおにチュッチュゥ、交互に3回して別れた。パリだとたいてい2回だけれど、ここは3回なんだ。

午後4時、「UNHCR特製がんづき」試作。

居候先シゲコさん宅に帰る。トシさんと彼の部署の研修生アリスもやってきた。18日のイベントを手伝ってくれる。

米スタンフォード大の学位を終えたばかりの新人で、9月にはイラク北部の現場に行くという。「いい経験になるわ」。気負わず、いいな。

トウモロコシを散らして「宮城がんづき」を焼く。どうだろう。

乾燥トウモロコシと缶詰コーンを散らしてみた。どっちがおいしいだろう。明日、食べ比べてから試食用を蒸そう。

日本人の誕生日はイチゴショートケーキでしょう。

がんづき作りを終えたらケーキ教室になった。トシさんのパートナー、ナオミさんと丁稚ケイの誕生日ケーキを作ろう。

ナオミさんは日本にいるから主役なしだけれど、動画でお祝いの様子を撮影して送るのだとか。

ジュネーブで会った初日、「チカコさん、誕生ケーキ、作りますから!」と宣言されていた。もちろん受けて立とう。

どんなのがいいだろう。

トシさんはイチゴショートにこだわった。えっ、でもナオミさんはジュネーブ育ちだし、フランス菓子「フレジエ」とかでなくていいのかな。

「ハイ、生クリームとイチゴ。日本人ならコレでしょう」。

ごくシンプルに。ジェノワーズ生地(スポンジ)をシゲコさん宅の大きなガスオーブンで焼く。グリュイエール産ダブルクリームと、脂肪分35%の生クリームを混ぜて泡立てる。

まだ出回っているスイス産イチゴをたっぷり、くるくる巻いて巻いて…。

仕上げはイチゴより風味の強い「マラ・デ・ボワ」を飾った。ナオミさんの分は直径20センチほど、ケイのは直径13センチほど。1本だけローソクを立てた。

午後9時、撮影開始。トシさんがボサノバ調で「ハッピーバースデー」を奏でる。

照明を落とす。じゃあスタート。トシさんのギターの音色がやさしく流れる。シゲコさんと私が歌い、ケイはダンスを踊り、アリスが動画を撮影した。

なんてぜいたくなんだろう。1本だけのローソクを眺める。もう1年、たったなんて。ぐっときた。本当に本当に早かった…って、まだ4日前だけれど。