1スイスフラン≒83円
午前7時、がんづき、かりんとう、セイロを袋に詰める。
UNHCR勤務の居候先シゲコさんがすべて持って行ってくれた。ありがたい。午前11時半、もう真夏の空。歩いてUNHCR本部へ。
抱っこひもの牢名主ケイも体温が高い。暑くなりそうだな。到着する直前になって気付いた。
デモ用のトウモロコシを忘れてしまった。
UNHCRの裏にある生協へ駆け込んだ。250g入り1缶が0.9フラン。安い。米スタンフォード大の研修生アリスがセキュリティチェックで迎えてくれた。
「たくさんポスターが張ってあってびっくりしたわ!エキサイティングになりそうね」。
確かに金曜日に1枚だけ置いた1メートル大のポスターが2枚に増えていた。あはは、すごい。大イベントみたい。
テラス席で「Sweets for thought」デモ準備。
屋外テラス席のテーブルにエタノール燃料コンロをセットする。
エタノール400㏄をしみこませて火をつける。セイロをのせるお鍋にたっぷり水を張る。どれぐらいで沸騰するかな。
難民に配給される皿やコップ、鍋を並べる。アルミ製がそっけない。一家だんらんを思い浮かべようとした。でも阻まれる。もちろん飢えるよりいい。でもやっぱり切ない。
小麦粉、豆、ポリタンクも展示した。そろそろ始めよう。
テラス席が混み始めた。バギーの置き場も面倒を見る人も場所もない。パリ、ストラスブール、ローザンヌ…いままで恵まれていた。
改めてありがたい。ちゃんと100倍返し、しなくては。
30度近い暑さ、コンロの熱気も心配。でも仕方ない。おんぶしてデモすることにした。
ドヘタ仏語で話し始める。「日本の人が多いし、どうぞ日本語で」。
聴衆の1人から言われた。宮城がんづきの説明から入る。実演そのものは簡単だった。粉と砂糖、水を混ぜて型に流すだけだ。失敗しようがない…はずが、さすが私だ。
うっかり手を滑らせて木べらを落としてしまった。あちゃー。
なかなかお湯が沸かない。風が強いせいか。アルミ箔で覆ってお湯を足してしのいだ。
通りがかった人たちに試食を勧める。
暑いせいかあまり人が来てくれない。1人ぼっちになる。そうか、案外キビシイな、トホホ。
「おひとついかが?」「どうぞ召し上がれ」。カフェで配って回りたくなった。
カオリさん、シゲキさん夫妻が面倒を見てくれた。
ケイがぐずりはじめた。おんぶするとたいてい眠るのに、ずっと泣いている。暑いわな、そりゃ。困ったな。
UNHCR勤務のカオリさんとフランス文学者シゲキさんが助けてくれた。
ちょうどケイより1カ月ほど早く生まれた男の子がいるという。「おむつ、大丈夫かな」。
トイレに案内してくれた。洗面台に立たせて替える。助かった。
戻るとシゲキさんが留守番してくれていた。「来た人に勧めておきましたよ〜」。ありがたい。
午後2時、終了。試食がたくさん余ってしまった。
出たり入ったりで中途半端になってしまった。「コーンがんづき」は半分以上、残ってしまった。
もっと難民配給食料やエタノールコンロについて知っておいて、ちゃんと説明ができれば…。でも相手は難民援助のプロだしな・・。ためらいもあった。準備不足もあった。反省する。
トシさん、シゲコさんのおかげで開けたこと、とびきりの笑顔でお礼を言おう。
国際労働機関(ILO)の小児科医、ユカ先生と話す。
近くの国際機関に勤める日本の人たちも来てくれた。そのうちの1人、ユカ先生が午後2時、戻ってきてくれた。ランチタイムが過ぎて閑散としたカフェテリアで話す。
11歳、9歳、4歳の2男1女の母だった。「きょうチカコさん、おんぶしてデモしているのを見て、思い出しました」。
長男が生後7カ月で次男を妊娠中のころ学会発表をしたそうだ。
会場のわきで看護師さんに抱かれていた長男がぐずり始めて結局、おんぶしながら説明を続けたという。ひー、すごい。私なんてまだまだだわ。
海外に住む日本の母子サポートをライフワークにしている。
そこに「おやつ」がからめられたら…。インドに行けば私自身、まさに当事者になる。いいな、いいな。2人で盛り上がった。
彼女はまもなく一家5人で、カリブの島国トリニダード・トバコに赴任する。パワーが出るな。私ももっと、頑張ろう。
午後4時、帰宅。ヴァニラヨーグルトとシリアルバー、朝食のようなおやつ。
お昼を食べ損ねた。ナツミさんにもらったシリアルバーをかじる。「スイスの子どもの典型的なおやつ」と言っていたっけ。あら、おいしい。少しねっちり、ほどよくふんわり。
ヴァニラヨーグルトも3種類試そう。
2個セットをバリバリ切って、1個から買えるのに気付いた。いろいろ試せるからいいな。
「エクセレンス」は1個0.95フラン、スーパー「ミグロ」ブランドは1個0.55フラン、「ビフィズス」は1個0.85フランだった。やっぱり「エクセレンス」圧勝だな。フーッ、落ち着いた。
明日の夜にはジュネーブを発って帰途に就く。「帰るまでが遠足です」。小学校の教えを思い出す。荷造りしなくては…と思いつつ添い寝したまま眠ってしまった。