「竜宮城みたいでしょう」。案内人サイコさんは言った。
本当に。小田急片瀬江ノ島駅に午前11時半、着いた。気温32度。都心より2〜3度低く思える。風が通り抜ける。
やっぱり海が好きだー。
平日の昼間でも人、人、人。駅からすでに海パン姿の男子が多い。当然か、夏ラストスパートだから。
ハワイの名物パンケーキ「エッグスシングス」へ。
サイコさんはハワイ好きで何度も訪れている。ハワイも久しぶりに行ってみたい。彼女に言ってみる。
「次、いくときは一緒に」「行きましょう」。あっさり決まった。よーし、じゃあハワイの予行演習をしよう。
40分ほど待って入れた。ブルーベリーホイップクリームとマカデミアナッツのパンケーキにする。1150円。
おお、クリーム・タワー、待ってました。
スプーンでクリームをひとさじ、なめる。クリームは甘くないんだな。
メープル、ココナッツ、グァバのシロップをかける。入れ物がレトロでいいな。
「やっぱりメープル、王道のおいしさですねぇ」。サイコさんが言った。
「グァバは何だか、スイートチリソースのような…」。2人で旅番組ごっこになる。
江の島へ橋を渡る。
ザブーン。橋げたに波の音が響く。いい音だな。相変わらず男子、多いなー。
青銅の鳥居をくぐって狭い山道を登る。
江の島名物たこせんべい。プレス機でじゅわー。
「くらげせんべい」もあった。うーん、何かが試されているような。人生脱線だらけの反動か、食は無難に走るのだった。
王道・タコにしよう。300円。焼きたてを渡された。で、でかい…。パッリパリ。
アイス最中、サザエとハマグリ。
「まだお腹に入りますよね」「余裕ですね」。最中でアイスを食べる。サザエは抹茶、ハマグリは小倉アイスだった。
エスカレーター乗り場へは階段になった。バギーじゃ無理だな。
あっさりあきらめる。下ろう。
イタリア料理「イル・キャンティ・ビーチェ」へ。
大きな窓に青い空と海が広がる。デッキを行きかうのは男子ばかりだった。
「男子率高いなー」「そしてここにもまた男子」。
もう何回、ゆうとんねん。自分に突っ込む。だって新宿から1時間余りで、別世界だし。
「チ、チカコサン、男子というにはちょっと…」。
サイコさんに言われた。よく見ると確かに孫が4人ぐらいいそうな人もいた。いいって、いいって。
キャンティのドレッシング、あからさまにおいしい。
サイコさんが頼んだサラダは一見、ごく普通に見えた。
魚型のワイン瓶に詰められたドレッシングをたっぷり回しかけてくれた。あ、そんなにかけなくてもいいのに…。
実はそう思った。すぐ撤回した。うわ、このドレッシング、すごい。アンチョビと、ニンニクと、タマネギかな、さらっとしていてコクがあって。
瓶ごと飲み干したい。
販売もしているそうだが、夏はお休みしているとのことだった。残念。
スタッフに作り方を聞いた。「お教えできないことになっていて…」。ニッコリ言われた。
シラスのピザもなかなかだったけれど、ドレッシング圧勝だな。
午後3時半、サイコさんと別れる。
手土産の詰まった紙袋を渡してくれた。あらがじめ買っておいてくれたんだ。
何てうれしくて、ありがたいんだろう。見えなくなるまで手を振り続けた。
行列だった生シラス丼、もう少し人が減ったら食べに行こう。顔より大きいかき揚げ丼をうっかり、頼みそうだけれど。
帰って包みを開けると…湘南ボーイあらわる。
フフフッ。思わず笑った。「男子率が高い」と私が言いまくるのをハナから見透かしていたみたい。
さすが心理学を勉強しているサイコロジスト・サイコさんってことかしら。
平塚にある和菓子「湘南創菓 菊毬」のどら焼き、サーフボード型。
あんこと「バタどら」の2種類あった。丁稚ケイが眠っているすきにほおばった。
有塩バター入りの「バタどら」が気に入った。塩けが効いていて、コクがあって。ちょっと気取ったような、でも親しみやすいようなバター味、たまらない。
湘南ボーイそのものみたい。
相方ユウさんにてんまつを話した。
どら焼きだけれど、サーフボード型で、あ、冷蔵庫にあるからどうぞ。
「あ、ショーナンですか?」。
ショーナンですよ、と応じるのがオトナなんだろうか。またまた何かが試されている気が…。