1ユーロ≒100円。
午前8時半、B&B Antonella(ただし仮オープン)で朝食を。
元々は牛舎や馬小屋であり、ワイン蔵でもあった食堂に入る。わぁ、広い。私がお邪魔した2年前、床はまだ砂利で薄暗かった。
築100年以上の石造りの農家は大改装され、もう完成したように見えるけれど。
まだ壁のデコボコを埋めたり、屋根裏部屋やベランダに手を入れたり…。細かい作業がのこっているのだとか。
正式オープンは「来春ぐらいかな…」。
カウンターに用意してくれた朝食にときめく。
カスタード入りクロワッサン、薄切りハムにイチジク、ブドウは庭でとれたマスカットの一種・モスカートだった。
「おいしいワインになるのかぁ…」。ヨーコさんがうっとり言う。
。
壁にセメントを入れて塗り固める作業を続ける。
午前11時半、ラファエッラの農家民宿へ。
2年前に6泊した。台所に立ち、ラヴィオリやココアプリンを教わった。ラファエッラの4人の子どもたちはすっかり大きくなっていた。
アンナは今月から高校生に。ジュリアは「バレーボールの選手になりたい」、長男フランチェスコは首をかしげた。母ラファエッラは言った。「ラテンの男だからね」。優柔不断との意味みたいだった。うふふ。
末娘エレオノーラは、ケイにぬいぐるみをたくさん出してあやしてくれる。ありがとう。
あんずのジュースで乾杯する。「ここで子だくさんなのを見て、子どもが欲しくなったんじゃない」。笑われた。
午後1時、チーズ職人シルヴィオを訪問。
30頭の羊たちが迎えてくれた。パンを焼き、手で乳を搾り、チーズにする。すべて1人でこなす。ひとつひとつに魂を込めた手仕事、すごい。
詳しくは帰国後、報告します!
午後5時、イタリアワインの王様・バローロで一番古いワイナリーへ。
テイスティングと蔵を見学させてもらった。ここまで来たのだ、ええい、買ってやるー。
モスカートとバローロを6本ずつ送ることにした。クロネコヤマトの航空便で、送料180ユーロ。
商品と同じぐらいかかるな…これも勉強、実験。
ピエモンテの一望する丘へ。
かわいい坊やがいた。あ、丁稚ケイと同じバギーだ。思わず微笑んだ。1歳2カ月のケイより1カ月だけお兄ちゃんだった。
彼がニコニコしてケイを指さす。
「ビンボ、ビンボ」。えっ、ビンボー?
ううっ、カネなら確かにないが、どうして分かったのだろう。
戸惑っていたらイクコさんに言われた。
「イタリア語では男の子のことをビンボ、って言うんですよ」。なぁんだ。
たった1歳3カ月でそんな言葉を発するんだ。恐るべしイタリア男子。
ブドウ畑にあるオステリア「プロフーモ・ディ・ヴィーノ」へ。
ピエモンテ牛のタルタル、10ユーロ。
タルタルには定番の卵黄もケッパーもなかった。ごくシンプルに塩、コショウ、オリーブ油だけが出された。
自信の直球、受けて立とう。フォークでざっくり、90度ずついただく直角打法で斬ってとった。
どうだ…って、そんなに力んでどうする。
ズッキーニの花のフライ、スカモルツァ・チーズのディップ添え、9ユーロ。
くん製されたチーズのコクがたまらないな。シンプルなようでひと工夫あった。
パッパルデッレのエビ、トマトにツナのボッタルガ(からすみ)。13ユーロ。
幅広麺にあっさり味、ボラではないけれど「からすみ」味だな。
ピアニスト・ヨーコさんが頼んだ黒トリュフのパスタは瓶詰めに入ってきた。「森のダイヤ」と呼ばれる香り、逃すまじ。気合を感じる演出だな。素敵。
ジェラート盛り合わせ、9ユーロ。
ヌガー入り、モモ、ヘーゼルナッツにピスタチオの4種類が並んで現れた。カッコだけじゃない、本気の舌触り、香り。絶対にマネできないな。降参しよう、そうしよう。大急ぎで味わうのだった。