岡山編<上>閉校の小学校舎でイベント

メープルシュガーもおすそわけ階段も味がある最年少スタッフ?丁稚ケイ廊下は1箱古本市がずらり運動場でライブのはずが・・・pieni..の引き出しづかいがおしゃれ

午前9時半、岡山城に近い旧・内山下小学校へ。

一日限りの祭り「真夏の夜の夢〜マチノブンカサイ」の会場だった。体育館ではアーティスト8組がライブを繰り広げ、17教室では物販やワークショップが開かれる。

「1日アトリエおやつ新報」を復活させよう。

キャリーケースとバギーを転がしていたら、白のTシャツ姿のスタッフが助けてくれた。ありがたい。ボランティアは200人にものぼるという。

チケットは直前3日で500枚が売れ、一気に1000枚を完売したという。すごい。

割り当てられた3階の「美術室Ⅱ」に入る。

およそ築80年の鉄筋校舎は3階建てで、要塞のように大きかった。

子どもたちの歓声が響いていたんだろうな。壁の温度計や「消火器」の看板、もうない銀行が寄贈した本棚…。

どこにレンズを向けても絵になる。

美術室の窓を開ける。ビルの谷間にぽっかり運動場が浮かぶ。

本来ならライブ会場だったが、台風のため屋内に変更された。窓越しに見物ができるかと思ったのに。ちょっと残念なような。

午前11時、黒板に写真を張り、椅子を並べる。

試供品として用意したメープルシュガーの小袋を並べ、おやつを用意する。準備は終わった。よその教室を回りたくて仕方ない。廊下に出よう。

本の虫たちが1箱古本市を開いていた。

トランクに並べたり葉っぱを上手にあしらったり、小さな雑貨屋さんみたい。センスいいな。

時間を忘れそう。自分の教室に戻ろう。

丁稚ケイのシッターを引き受けてくれたマユミさんが、黒板に落書きしていた。「ちかこ おやつ」。相合傘一つにおさまっている。クスッ。なつかしい。いいな。

午前11時半、パリのおやつ&お話し会スタート。

だれも来ないんじゃないかな…。いじけた思いは外れ、20席が埋まった。うれしい。

1週間前に旅したばかり、空気が伝わっていたらいいな。

ワークショップの合間、じっとしていられない。

お世話になっているカフェと学校「pieni..ecole+cafe」は2階の理科室にいた。あいさつに行こうっと。ジャムの瓶詰めや野菜がおいしそう。

「備前ブレンド」との水出しコーヒーを買う。

午後3時ごろ、予報通り雨に。

冷房がなく風も通らない。2回目のワークショップを終えたら汗びっしょりになった。

ダッシュで教室をめぐろう。

古道具屋さんで業務用の古いマドレーヌを見つける。ときめく。でもオーブンに入りっこない。飾ってもいいかも。うっかり心が揺らぐ。

借り住まいの部屋、どこに置く気だ私。あきらめてカフェで使われていたというトレイやスプーンだけ買った。

本屋さんで絵本2冊を買い、カップを手に入れた。

お腹もすいた。運動場前の屋台に突進したいが雨に阻まれる。

グリーンスムージーを手に入れただけに終わった。む、無念…。

岡山ってすごいなぁ、こんなに盛り上がれるなんて。

どこの教室も人でいっぱい、体育館には混雑が怖くて近づけなかった。マユミさんが言った。「本当に文化祭ですね」。

人が多すぎず、少なすぎず、投げた球がちゃんと狙った層に届く。街が適正サイズなんだろうな。

午後10時半、打ち上げへ。

「pieni..」店主・ヒデミさんたちとマンゴージュースで乾杯する。

土壇場で天気に振り回され、スタッフはさぞ大変だっただろう。たった3カ月でここまで準備したなんて、岡山恐るべしだわ。

「1日で終わらせるの、もったいないですよね」。ヒデミさんが言った。本当に。

内山下小学校は今後、どうなるのだろう。

長期的な話は決まっていないようだった。

せっかくの一等地、だれでも来られるカフェと学校のような場ができたらいいのに。「pieni..」拡大版のように。

京都の烏丸御池にある元・小学校のように、芸術センターでもオッケーじゃな。

えらそうに「押しかけ街づくりプロデューサー」と化すころ、岡山弁が全開になっていた。

どうか間違えても壊されませんように。