東京・目白おやつ散歩

築85年、日立目白クラブへ。

学習院の寄宿舎として1928年(昭和3年)、建てられた。

天井や壁にアールデコが香る。7棟からなる「昭和寮」の本館だった。

旧制高等科に通う寮生たちは「若き紳士」、お酒もタバコも黙認されていたという。へーえ。

戦後に日立グループの所有になり、クラブハウスとして使われている。

なかなか入れない場所に行けたのは、社員のサイコさんが誘ってくれたから。

彼女の知人が主宰するキャリア研究会の新年会が開かれた。

IT企業の社長、大学教授、弁護士…東京や神奈川から女性ばかり30人ほどが集まった。

迷い犬みたいな丁稚ケイを連れて乱入する。ワンワンッ。

まずは洋館を探検する。

英イートン校の寮がお手本になったとか。品のない親子の乱入、すみません。

2階へ上がる。階段がすでに素敵だな。

白い壁やアーチ型の窓は当時、アメリカで流行していたスパニッシュ洋式の特徴という。

ドアノブに菊が。

「御紋ではないのですが…」。クラブ支配人が説明してくれた。

それでも学生寮とは思えぬ凝ったつくり、さすが。

大広間でのビュッフェを。

ビュッフェ式のパーティーに加わるなんて久しぶりだな。お皿を片手に突撃する。

鶏のクリーム煮に生ハム、オードブルにお寿司…。

ローストポークがやわらかくて、ソースをかけてくれる。うれしい。お替わりしよう。

狙っていたが話をしている間に消えていた。無念。

サイコさんはさすがだった。「ちゃんと2皿、食べましたよ〜」。ま、負けた。

新刊「世界のおやつ旅」の出版パーティーが開けたら…。

ちょっと考えた。下見のつもりでやってきた。でもやっぱり分不相応だな。もったいない。

魂を込めた「我が子」を世に広めるのが先、本が増刷されたらお祝い会をしよう。

そう決めて4作目、パーティーが縁遠いままに…。トホホ。まだまだ頑張ろう。

甘いものがないと終われない。

サイコさんと言いつつレトロな館をあとにする。

2人で向かったのは近くの洋菓子店「エーグル・ドゥース」だった。

京都にいた5年前、出版祝いに友人がケーク(パウンドケーキ)を贈ってくれた。

メープル味の「ケベコワ」、心をわしづかみ。

20㎝ほどある1本を一気に1人で食べてしまったほどだった。また買いたい。ケーク怖い。好きすぎて買えない。

東京を去る日が決まったら記念に買おう。

ショーケースの前をウロウロ…。

「トルシュ・オー・マロン」という名前のモンブランは注文を受けてから組み立てられる。

さらに「1時間以内」が賞味期限だった。確かにメレンゲの歯ざわりはすぐ、いただいてこそ。

きょうはキャラメル味のサントノーレにした。530円。

おもたせの箱もたまらない。

エッフェル塔や凱旋門、お店の外観の箱…。いろいろ選べて迷う。箱代200円。いつもだれかにあげたくなる。

焼き菓子にも脱酸素剤を入れないこだわりだった。

お店の箱にクッキー1本、マドレーヌなどの焼き菓子4つを詰めて1800円ほど。

近くには自由学園、レトロで端正なクッキー缶。

自由学園明日館は1921年(大正10年)、フランク・ロイド・ライトが設計して建てられた。

敷地内にあるショップで買えるクッキーがまた、素朴でたまらない。

缶にぎっしり詰まっている。どれからいただろう。指がウロウロ×10…。

お勧めの「ケベコワ」を買ったサイコさんからメールがあった。

「恵方巻きのように食べたい!」。

ケークの恵方巻き食べ、いいな。厄払いを言い訳にやっちゃおうか。東京卒業記念のはずが…。