東京・渋谷パン散歩

丁稚ケイ、1歳6カ月健診へ。

おむつ一丁にして赤ちゃん用の体重計に転がす。体重10.6キロ。身長84センチ。

話せる言葉は?やさしい先生に訊かれる。

「パパ」「ママ」「あっち」「こっち」「はい」時々「おいしー」…。

「ママ」は最初、意味がなかった。「音」だった。まもなく食べ物や私をさす「言葉」になった。にしても食べ物と私、一緒かい…。

そう思っていたら「マンマ」=食事、「ママ」=私と区別されるように。

私自身は「ママ」を使わないのに。

「あっち」も、方向をさす「あっち」と、みそ汁が「あちーっ」と、意味も発音も分化し始めている。

言葉が枝分かれして意味を放つ。本能を日々、目の当たりにする。

本能な日々、たとえばボール。

目の前に転がすとまず、けり出す。サッカーって本能のスポーツなんだなあ。

教えたわけでもないのに乗り物が好きなのも、不思議。

ぬいぐるみには目もくれない。新聞広告の車を指さして興奮する。ザ・男の子だった。本当に不思議。

東京・渋谷の国立総合児童センター「こどもの城」へ。

日本語教師ユーコさんとの待ち合わせ前にガオーとひと暴れさせよう。大人500円。

うまくいけば眠るか、おとなしくなる。さもないと怪獣連れ、食事も話もできたものじゃない。

バギーに乗せるたびに体をのけぞらせて嫌がる。ぴちぴち跳ねるサカナか君はー。押さえつける。「拘束」という単語が頭をよぎる。お願い乗ってー。ふぅ。

「こどもの城」、2015年3月めどに閉館。

厚労省によれば「施設の老朽化」「同じ機能を持つ児童館の整備が進んだ」から。ホンマカイナ。

いつ来ても大にぎわいで、くつろげないほどなのに。つぶすどころか拡充してほしい。もったいない。

ブーランジュリー「ゴントラン シェリエ 東京」へ。

クロワッサン180円、パン・オ・ショコラ230円。コーヒー280円。

バターの層が美しい。パリの実力店並みにしっかりしている。

なかなか見かけない。なのに180円、お手ごろなのがすばらしい。

399円のクロワッサンに行列ができるのが東京だから。

日本語教師ユーコさんと好きなクロワッサンについて語る。

「もちろん、ふわふわとか、しっとりじゃなくて」「中までしっかり火が通っていて」「切れないナイフで切っても断面がつぶれない」。

パン・オ・ショコラに入っているチョコ棒がフランス式に2本ではなく、1本だけだったのは残念だけれど…許そう。

ナニサマ目線で思っていたら、ユーコさんが言った。「私の2本、入ってました!」

単にくっついて2本になっていただけだった。よかった。午前7時半から開いているのもパリ標準だな。

東京のパン屋さんの開店は遅いからうれしい。東京一おいしいパン・オ・ショコラのために、また来よう。

ゴントラン シェリエ 東京

クロワッサン評論家ごっこ。

料理学校ル・コルドン・ブルー 代官山校のブティックへ。

初めて来た。クロワッサン231円。ザクザクッ。いい「層音」がした。さすが。

ル・コルドン・ブルー

ユーコさんが好きな「メゾン・イチ 代官山」へ。

クロワッサン149円。なによりもおそうざいがおいしそう。自家製ローストポークをはさんだサンドイッチにかぶりつく。

半分は残そうと思ったのに食べ切ってしまった…。499円。

メゾン・イチ 代官山

ユーコさんが「ナチュラルローソン」の前で足を止めた。

「クロワッサンで思い出しました」。

「あんこ入りのクロワッサンみたいなのがあって、コンビニのおやつとしては秀逸なんですよ〜」。

試してみよう。「あんこギッフェリ」168円。

ケシの実がかかっていて焼き色がしっかり黒い。「あんこぎっしり」と呼び間違えそうなほど。ずっしりあんこ、ほの温かいのにかぶりつく。ホホホッ、なるほどー。ほっぺが喜んでいる。

代官山T-SITEへ。

おしゃれな蔦屋書店に向かった。フランスの料理本もそろっている。うわー、目移りする。新刊「世界のおやつ旅」が出たら飛び込み営業しよう。

あ、バギーの丁稚が退屈し始めた。

あそび道具「ボーネルンド」へ。

ガテン女としてはボッシュの工具おもちゃセットにときめいた。まだ早いか。

よく見かける野菜と包丁セットを買った。3990円。ザクッと切れる手ごたえ、大人でも楽しい。

もう少し大きくなったら、本物でしっかり手伝ってやー。