神戸で世界のおやつ旅

幼なじみエミゴ宅を訪ねる。

元・保育士で2児の母だった。海が見える部屋にお邪魔する。

やっぱり瀬戸内海は無条件で落ち着く。亡き母も海を恋しがった。

あ、怪獣ケイが電源コードを抜いている。あぁ、コップをひっくり返さないで。1秒たりとも止まっていない。ならず者め。

「1歳7カ月か。いまが一番、大変な時じゃなぁ」。

なぜかエミゴはニヤリ、うれしそうに言うのだった。

午前10時、岡山の女性誌「LLIO(リリオ)」取材と合流。

北野坂の洋館をバックに撮影する。

編集者ハルチャンのほうが100万倍、かわいくてビジュアル系なのに。申し訳ない。

でもでも新刊「世界のおやつ旅」のためにしゃしゃり出るのだった。

通りかかりの人たちがチラッと見ていく。

「ナニモノ?」視線が刺さる…ような。

妙なところで自意識過剰、「1旅1ウソ」を実践しそうになる。

「実は無名の演歌歌手で、新曲<北野坂の恋>キャンペーン中なんです」と言い張ろうか。

レコード会社と名前の書かれた手製たすきを斜めがけしたい。

「お、そう来ますか…」。カメラマンのウエダさんはあきれていた。

次の取材先へ。

コイン駐車枠で10分オーバー、取り締まられたばかりのハルチャンが急ぐ。「あ、あと残り1分だ。あそこなんですが、車」。

ウエダさんがさらっと言う。

「あ、ないよ、車。」ええーっ。2人で声を挙げた。「大丈夫、あるある」。ウエダさんが笑った。

しまった、ハルチャンも私もだまされた。1旅1ウソ、実践だー。

仏ボルドー菓子カヌレを。

御影に本店のある洋菓子店「ダニエル」のクレープ店で買った。

ちっちゃくて、かわいい。指でつまんで底からパクリといただきたい。ホロホロして、カリッとして。

1個105円。シトロン味がいいな。

「うなぎの寝床」も。

細長いチョコレートレーキだった。いちじくがプチプチ、しっとりとしたチョコ生地に弾ける。

一切れサイズもあった。うなぎの「まくら」ぐらいな。1切れ210円。

洋菓子のダニエル

パン店「トミーズ」へ。

粒あん入り「あん食」は、伊丹空港のクミコさんからいただいたのが最初の出会いだった。

1.5巾600円。

手にすると「ずしっ」とくる。「あんこ重力」、偉大すぎる。巻かれたあんを「ほどき食べ」したい。

トミーズ

午前中に3店、回ってお昼にした。

取材チームと別れる。丁稚ケイと室内遊び場「キドキド」へ。

いつも行列がある「森谷商店」を通りかかった。

あ、列が短い。

揚げたてのコロッケ80円を買い食いする。おイモがクリームみたいに、まったり。

午後も3店、駆け回る。頑張ろう。

北イタリア発祥のチョコレート「カファレル」でジャンドゥーヤを。157円。

フランス菓子「グレコリー・コレ」、香港デザート「甜蜜蜜(ティンマンマ)」も訪ねた。

日本、フランス、イタリア、香港…。1日で「世界のおやつ歩き旅」ができた。

おしまいに大丸神戸店へ。お土産一網打尽。

「下村」のあなご寿司で晩ごはんにしよう。詰め合わせ787円。

あっさり酢飯を「そうそう、これこれ」とかみしめる。ホームグラウンドの味がする。

洋菓子「ツマガリ」の焼き菓子も。

合計42種類を1枚ずついただこう。お茶のサービスもあって応対も丁寧、関西定番の横綱だな。

ベーカリー「フロインドリーブ」の「コミミ」も。525円。

神戸発19:45、スカイマーク116便で羽田へ。

搭乗口にある店で明石の「たこせん」を見つけた。偏愛おやつ、やっぱり買ってしまう。

5袋入り600円。

ほぼ満席にもかかわらず隣の2席を空けてくれた。

それなのに丁稚ケイは50分のフライト中、ずっと騒ぎ泣き叫んだ。

申し訳なくて身も心も縮む。フライト43回目にして「ムシロ度」史上最高だったかも。

空の旅もぼちぼち限界か…。