新刊「世界のおやつ旅」を携えて。
自らのヘタレ話を「トーク」などと恥ずかしげもなく言うのが恥ずかしい(どっちだ)。
我が子のためならば。
「お話とおやつ会」としたこともあったが、妙にナチュラルな感じがする。似合わない…。
「講演」というほどありがたくもないし…。「トーク」で赦してもらおう。
初日は2月9日、東京・荻窪のカフェ「6次元」で。
19日からは関空から機上の人に。
東京を1カ月以上、空けることになる。おやつの仕込み、スライド製作、荷造りを並行して手際よく・・できるわけもなく、モタモタする。
「建築家のショートブレッド」は粉糖で作ったものと、グラニュー糖で作ったものを焼こう。味わいの違いを比較してもらうのが狙いだった。東京、大阪、京都分で100人前になる。
時節柄…チョコレートも。
ジュエリー・レーズンをピエモンテから個人輸入した微発砲ワイン・モスカートに漬け、仏ヴァローナ社のカカオ66%のチョコレート「カライブ」をまとわせる。
ホワイトチョコも仏ヴァローナ社で、ピンクペッパーを散らす。
いずれもパリで売っていた味をヒントにした。
あれ、怪獣が静かになっている…ということは。
おとなしい=何がが起きてている。案の定、オーブンシートを引っ張り出してカーペットみたいにしていた。フーッ。ま、いっか。これで10分、静かにしてくれるなら許そう。
愛用のゴムベラが。
使い込んだ小さなヘラがついにちぎれてしまった。
合羽橋で何気なく買って以来、「ないと不安」になるほど欠かせない道具だったのに。カーブの加減が使いやすくて手になじむ。確か100円やそこいらだった。
どの店で買ったのか思い出せない。合羽橋に行くたびに探すけれど、同じものに出会えない。
がんづき10台を蒸して仕込み終えた。
大阪、京都、福岡へ宅配便で送った。忘れ物はないかな…あ、丁稚ケイのパスポート。
忘れるところだった。危ない、危ない。ついでに香港ドルも出てきた。しめしめ、持って行こう。
荻窪のカフェ「6次元」。えーっと、どこだろう。
元・TVプロデューサーの店主ヒロコさんが迎えてくれた。階段を昇ると古いミルク缶に出迎えられる。
元ジャズバーだったという。か、かっこいい、どこかなつかしい。メニューに目が止まった。
「ノリトースト」って、いったい…。
「神田にある喫茶店<エース>で食べておいしかった」ものを再現したという。
さて準備、準備。
あっというまに開始時間になった。お皿におやつを並べ、迎え、話す。あっというまの90分だった。
「ノリトースト」、イベント後にいただいた。
わ、トーストが組体操している。えらいぞ、支え合い。
バターとノリとしょうゆが香る。
「磯部餅」のパン版だな。クセになりそう。マネしてみよう。ホットサンドメーカー、インドに送った荷物にあったはず。
帰ってホッ。
小川軒のレーズンウィッチを「楽屋見舞い」として持って来てくれたのはミチコさんだった。
ショーコさんは荻窪の「高橋の酒まんじゅう」を。
何気なくいただいてびっくりした。うわー、何てやわらかくて、ほんわりしているんだろう。
作りたてはもっとすごそうだな。また買いに来たい。6次元にも、また。
ここちいい陽だまりを思い出す。ほっこり、というのとも違う気がする。力強さと、たおやかさを感じる空間だった。
またイベントが開けたらいいな。いや、入り浸って常連になりたい。出会えたこと、心から感謝しよう。