2013年、初海外はニュージーランド。
ご縁は2007年、京都のアトリエにエアーメールで届いたカレンダーだった。
マウントクックやロトルアの温泉など、ニュージーランドの景色が描かれていた。
送ってくれたのはフミコさんだった。
住所もメールアドレスも書いておらず、お礼が言えないまま1年がたった。
また翌年、カレンダーは届いた。
封筒にメールアドレスが書いてあった。ホッ。さっそくお礼と押しかけ宣言をした。
「いつの日か、NZのおやつ事情を探りに押しかけるかもしれません、どうぞ覚悟を!」。
フミコさんの返事が忘れられなかった。
「いつでもNZへお越しください。バターも生クリームも湯水のように(?)使えますよ」。
湯水ですってー。パソコン画面に向かって叫んだ。
あれから6年、ようやく実現した。姉と甥っ子ユウ&リョウの5人旅になる。
大学院でインターンシップについて研究する姉の訪問先までアレンジしてくれた。
姉妹で厚かましい。心から感謝しよう。お土産をごっそり詰める。
関空10:00発、CX503便で香港へ。
出国審査を抜ける。免税店街の片すみに無料キッズルームがあった。ありがたい。
1歳7カ月の丁稚ケイを抱っこひもから降ろして放つ。
いっぱい遊んで、空の上ではおとなしくしてやー。
香港までの3時間半、ケイは1時間ほど眠った。ホッ。
機内食はハンバーグ。
やわらかくてファミレス並みにおいしい。
ケイには幼児ミールを頼んでいた。渡されたのは瓶詰め3つがゴロンと転がったトレーだった。ありゃ、ザ・離乳食だ。
JALだともう少し、大人の食事に近いものがでるのだけれど…。
離乳食も幼児食も区別なくて一緒だから仕方ない。出るだけマシか。
乗り継ぎ2時間、香港国際空港で大暴れ。
広くて開放的で、搭乗口近くになれば店もない。キッズルームがなくても走り回れる。
ケイと甥っ子たちは「ぐるぐるじゃんけん、ぐるぐるじゃんけん…!」と言って腕を回しながら走り回っていた。
香港15:25発、CX117便でニュージーランド・オークランドへ。
広東語で「奥克蘭」とあった。漢字って偉大だ。
ここからが本番だった。フライト11時間、東京〜パリほどかかる。泣かんといてやー。
まずはケイの食事が。瓶詰め6本!
リンゴジュース、鶏のペースト、洋ナシのピューレが2本ずつだった。食事2回分なんだろうな。あっけにとられているのは私だけで、ケイはパクパク食べていた。
子どもへのプレゼントには黄色いリュックを渡された。
ノートや色鉛筆、シールが詰まっていた。ありがたい。
機内食は香港式カレー。
八角だろうか、いかにも香港っぽい香りがする。お肉も野菜も大きくてうれしい。さすが香港の足、キャセイだな。
11時間、やっぱり長かった。
ガラ空きを勝手に期待していたが満席だった。
おまけに揺れが続き、ベルト着用サインがなかなか消えない。
泣いて「出せ」と訴えるのを封じ込め、体を押さえつける。2時間ほどは眠ってくれた。ホッ。でも重さ11キロが我が身にのしかかる。
やっぱりもう限界だわ…と、近ごろ飛行機に乗るたび、思うのだった。
翌日7:40、オークランド着。
窓に海が広がる。空が青い。高い。わーい、夏の空だー。南半球にやって来たんだな。合計17時間の苦行移動もすっかり忘れた。ウキウキする。さーて、長袖とはしばらくおさらばだ。
リョウが言った。
「セミが鳴いとるとよ」。そうだね、だって夏だもん。自分のもののように自慢する。