1ニュージーランドドル≒80円
2日目8:00、ジョギングがてら街へ。
ヴィクトリア通りにあるケーキ屋「Gailers’」に入った。古びたしつらい、そそられる。
サンドイッチをひとつ、買った後に気付いた。あ、パイが並んでいる。フミコさんのメールを思い出す。
「ニュージーランドに来てパイを食べずに帰るわけにはいきません!」。
食べてみよう。2つ買って帰った。「ステーキ」3.5ドル、「ポテト・トップ」3.5ドル。
ナイフで4等分する。あんかけ風の中身が出てきた。
保守的な舌を持つ7歳のユウが言った。
「これ何と?」。まーただ。すぐ訊くんだから。
「パイだよ、食べてごらん」。勧めるとこわごわ手にした。目が輝いた。
「肉まんみたい」。
あはは、そういわれると確かに。ニュージーランド版、肉まんかも。マッシュポテトの帽子パイもなかなかのお味だった。
5キロほど先にあるワイカト大学まで歩くことにした。
寄り道しながら、ゆっくりと。
宿を出て30分ほど歩く。ユウが言った。「トイレどこ〜?」
ちょうど芝生が見えた。じゃあひと休み、ひと休み。
「ロバート・ハリス」というコーヒーチェーンが目に入った。
のどが渇いた。アイスコーヒーとスムージー、あわせて11ドル。
マンゴー・スムージーを頼んだはずが、真っ白いシェイクが現れた。そういえば昨日もコーヒーを2つ頼んだつもりが1個だけ出てきた。
微妙に英語が通じていない…。トホホ。
11:00、ガーデンプレイスにある図書館に一目ぼれ。
明るいブルーの外観、見るからに楽しそう。
ちょっと入ってみよう。脳が描かれたドアを開ける。すぐ子どもコーナーだった。
木馬や絵本、木のパズルが置いてある。おむつ替えコーナーも広い。Wifiも無料で飛んでいる。
1日中、入り浸れそう。心底うらやましい。いいなあ。ワクワクドキドキする図書館なんて、なかなかお目にかかれない。
歩いてワイカト大学へ。
フミコ先生とキャンパス内のバス停で待ち合わせた。
大学生協で水を買い、カフェテリアに入る。「あれ、タダサン?」声をかけられた。「ヨーコです!」うわー、偶然。
付属英語学校の学生コンサルタント、ヨーコさんだった。
2年前のクライストチャーチ地震があったころ、かの地に住んでいた彼女からメールをもらっていた。
被災地でマフィンやビスケットを焼いて配る「ベーキング・アーミー」のボランティアについて教えてくれた。
私にもできるかも。ごく短い間だったがクッキーやショートブレッドを焼いて被災地に送った。
彼女がクライストチャーチからハミルトンに引っ越し、フミコさんと同じ大学に勤めているなんて。出発直前になってフミコさんが教えてくれた。
こういう偶然、何に感謝したらいいんだろう。
しかも今日もまた、偶然カフェで出会えるなんて。そういうご縁なんだ、きっと。おいしいコーヒーを手に盛り上がった。
13:00、プロモーション映像の撮影へ。
ワイカト大学で27日、「和のおやつ」デモをすることになっている。
日本語を教えるフミコ先生の学生向けで、きっと日本語でOKだろう。そう思っていたらフミコさんからあっさり通告された。
「英語でお願いします」。ガーン、甘かった。広報担当のカイリさんが携帯で撮影する。
「ハーイ、エブリバディ!」。
ノリノリだったのは最初だけだった。えーと、えーと。「えーと」交じりのハチャメチャ英語になる。
カイリさんが問う。「フードライターになるためにはどうしたら?」
ヒエー、そんなの私も知りたい。あーあ。「お願いですから上手に編集してください」。カイリさんに泣きつく。
来週の水曜日までに何とかしないと。
何せフミコ先生はポスターをあちこちに張り、大宣伝してくれている。地元マスコミにプレスリリースも出したらしい。
キャンパスを歩けば「タダサンですか?」と日本からの女性2人から声をかけられた。あわわ、びっくり、タダでございます〜。
たくさんの人に来て欲しいような、来てほしくないような。
ええい、そんな及び腰でどうする。愛するおやつと本と機会をくれたフミコさんのため、力こぶだー。