ニュージーランド編(6)ファーマーズ・マーケット&料理研究家のキッチン潜入


ニュージーランドドル≒80円。

午前9時30分、ハミルトン・ファーマーズ・マーケットへ。

ワイカト川沿いにある駐車場で毎週日曜、開かれる。

近くに住む料理研究家フィオーナさんに「ディップ教室」をお願いしてもらっていた。フミコさんの友人だった。

一緒に買い物をして、台所でレッスンを。

何とも理想的なプランにときめく。1歳8カ月になった丁稚ケイを姉に任せ、1人で行こうとした。

甥っ子ユウが言った。

「ボクも行っていいと?」。

大丈夫?退屈しない?問うと首を横に振っている。

じゃあアシスタント、してね。

そう言うと目が輝いた。「お手伝い、ちゃーんとして来てね」。姉が言った。

ユウにエプロンの入ったエコバックを斜めがけさせる。さあ出発だー。

こぶしを挙げて歩き出した。

ファーマーズマーケットは在住17年のフミコさんに案内してもらった。何から何まで甘え過ぎ、っちゅーの。

パン屋さん、チーズ屋さん、ハチミツ屋さん…40店ほど、いやもっとあるかな。どの店もにぎわっている。

アボカド屋さん、レタス屋さん、卵屋さん…。イチゴ屋さんの車がかわいい。ウキウキする。

見事に単品なのは、生産者が直接、売っているから。

コーヒー3ドルの幸せ。

街のチェーン店では4ドルだから安い。私は「ロング・ブラック」、フミコさんは「フラット・ホワイト」を頼んでいた。4ドル。

カフェラテのことをこう呼ぶんだな。

オーガニックのキイチゴは1パック6ドル、瓶入りブルーベリージュースは330mlで4.5ドル、アボカド1個1.5ドル…。

割安になるまとめ買いができない旅行者としてはつらい。

チーズ屋さんで試食。

パンの切れ端にチーズがのっていた。

「パン、おいしいっ」。こらこら、ほめるべきはチーズのはずが。

フミコさんが慌てていた。

チーズ屋さんはやさしかった。「あそこで売っているよ〜」。

よし買おう。

ハミルトンで一番おいしいパン屋さん「ヴォラーレ」だった。

イチジクとクルミ入りパン、5.5ドル。

フィオーナさん宅へ。

「きょうはプロのフードライターですからね〜」。

紹介してくれたマネジャー…いや、フミコさんも自信ありげだった。

詳しくは帰国後、紹介します!

午後1時、宿に帰ろう。

住宅街をてくてく歩く。郵便受けが何だかかわいい。

ラップの芯のように筒型になっているところには新聞を入れるんだな。

なぜかワイングラスがかたわらに置かれていたり、古ぼけていたり。

家ごとにカメラを向けていたら、ユウが言った。

「なんでチカチャン、写真ばかり撮ると?」

いま決めたの。今回の旅のテーマにするって。写真を撮るテーマにしようって。

「ねぇテーマって何と?」

ユウチャンの宿題みたいなものだよ…。ちょっと違うか。