14:38、JR久留米駅を出発。
九州新幹線「さくら」で33分、小倉駅へ。大分行き特急ソニックに乗り換えよう。
ちょうど2時間後、JR別府駅に着いた。
彼女の名はジョセフィーヌ。
本名はカナコさんだが15年以上、「ジョセフィーヌ」を名乗っているのだとか。
大阪・帝塚山で先月、開いた出版イベントに来てくれた彼女が言った。「両親が別府に住んでいるので、また遊びに来て」。
もちろん聞き逃さなかった。うわさに聞く「蛇口ひねれば温泉」を体験したい。
ニュージーランドから戻って5日、時差ボケ封じに出かけよう。
ジョセフィーヌは「ちょうど帰る口実になる」と、大阪から飛行機で駆け付けてくれた。
高台にある「スパランド豊海」へ。
温泉施設かな?いや地名だった。
父ヨシオさんの運転で家に着いた。眼下に別府湾とヤシの木が並ぶ砂浜が見える。リゾートホテルみたい。
眺めに負けじ、こだわりの住まい。
航空工学の専門家・ヨシオさん自らが設計し、カナダから木材を取り寄せて作ったという。
母ノリコさんお手製のローストビーフ。
オーブンで焼いた得意料理なのだとか。ジョセフィーヌは言った。「小さいころから何でも手づくりで、シュークリームまで」。
料理のケータリングを手がける娘も味を引き継いでいる。
ノリコさんに勧められて浴室へ。
わぁ、これがうわさの「蛇口ひねればお湯」か。
大阪マダムのジョセフィーヌにすかさず突っ込まれた。「お湯が出るのは当たり前です!」
あはは、間違えた。蛇口ひねれば温泉、だった。
とろりとしたお湯、ひからびた我がミイラ体にしみ込みそう。
翌朝6:00、ジョギングへ。
ジョセフィーヌに丁稚ケイをお願いする。「スパランド豊海」を下りて海をめざそう。暗やみの階段を駆ける。
市営関の江海水浴場へ。
だーれもいない海…だが、砂浜に犬の足あとがあった。散歩に来たんだな。波ぎわを走る。見上げればヤシの木が続く。
自主トレ気分が盛り上がる。プロゴルファーかプロボウラーに見られたり…は絶対、しないか。
丘を駈け上がる。別府湾に朝日が昇る。1人で走れること、ありがたすぎる。
感謝の思い、どう表しても足らな過ぎる。
お返しはパリで。
彼女の夢は「サンルイ島で小料理屋」だった。一緒にかなえよう。
菜の花がいろどる十文字原(じゅうもんじばる)展望台で話した。黄砂だろうか、海がかすむ。
12:00、「麺匠 香乃泉」へ。
大分といえば…の「とり天」を味わいたい。ジョセフィーヌお勧めの店へ向かった。
「とり天」セットにする。かけうどん、とり天6個、おむすび1個で500円だった。東京だと2人前はありそうだな。
どこでも「盛りが少ない」とぼやく自称・盛り評論家もむせび泣く太っ腹、モリモリいただこう。
お土産はスーパーで。
ジョセフィーヌお勧めはフジジン製「とり天の素」だった。198円。「とり天粉」も一緒に買った。125円。素に鶏肉を10分漬け、粉をつけて揚げれば大分名物がどこでもできる。再現しよう。
13:30、別府駅へ。
「オー・ヴォワール(また会いましょう)」。パリで小料理屋、実現しよう。
ジョセフィーヌとフランス式にチュッチュッ、ほおを寄せて別れる。
ジョセフィーヌによると周囲から「この人たち、何?」という視線を浴びていたらしい。気付かなかった…。