9:00、大阪・ミナミ、法善寺横丁。
元・吉本興業社員トシコさんに案内してもらおう。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に勤めるトシさん、彼の元・同僚で日本旅行中のレンとギナ夫妻と一緒に歩く。
コケむした水掛不動をめがけてエイヤッ。ひしゃくから水しぶきが飛ぶ。手をあわせる。気持ちいい。
丸福珈琲千日前本店へ。
昭和9年(1934年)創業、ちょっと暗くて重厚なソファに身を沈める。
ノルウェーからやってきた2人をどこに案内しよう。作戦会議…といってもトシコさん頼みだが。
まずはホットケーキ、550円。
これでもかと深煎りされたブレンドコーヒーも好みだな。520円。2段重ねのホットケーキにナイフを入れる。
フォークにバターを刺してキツネ色の表面に滑らせる。分厚いな。1枚ずつ90度ほど切る。
トシさんはバターをサンドイッチのように2枚の間に挟み込んだ。
トシコさんはバターを散らしてのせ、ギナは2枚まとめて切っていた。なるほど、4人4様だな。
「外カリ中ふわ」、まるでタコ焼きみたい。完ぺき。
笑いの殿堂・なんばグランド花月へ。
ジュネーブ在住歴25年のトシさんは2人に「日本の大衆文化における吉本の位置づけ」について知ってる限り、ブリーフィングしたという。すごい。全方位詳しい人なのだった。
入り口でたこ焼き弾。
焼きたてをほおばった。アヒヒー。思わずじたばたする。熱っ。
千日前道具屋筋、黒門市場をハシゴ。
レンは立体駐車場を珍しがっていた。外国にはないものね。
ジナはこけし型のお弁当箱を見つけて「ナッツ入れにするわ」と買っていた。そうか、面白い。
関口精肉店のコロッケ、買い食い。
トシコさんのお勧めはビーフコロッケと言う。揚げてもらったのを5人でほおばる。
おイモが甘い。あ、肉が真ん中に詰まっている。いいな、あんドーナッツ方式。やってみよう。
「バブルのころは大物芸人さんが社員に100個ほど差し入れしてくれたこともありました。ビーフじゃなくてふつうのコロッケのほうですけど」。
トシコさんが言った。
なんばグランド花月、年中無休で1日3公演。
「休んだのは昭和天皇が崩御された日だけ」という。舞台裏へ向かうトシコさんのあとをついていく。
入るのは2度目になる。
トシコさんが勤めるラジオに出演した昨春、寄らせてもらった。
トシコさんいわく「別に珍しいもんやないし、ただの劇場ですよ」。
いやいや、舞台そでの工具、派手な格好で何気なくたたずむ芸人さん…ワクワクする。
午後2時、フィナーレは「世界一のおはぎ屋」さんへ。
トシコさんが案内してくれた。小さなデニムののれんにジーンズ愛好家のレンが目をつけている。
本当に小さい間口の店はもう行列ができていた。「きょうは短いほうでっせ」。
後ろの男性に話しかけられた。
「鶴瓶がテレビで言うたびに行列がなごなってアカン」「言わんとき、ゆうてるのに」。友達みたいに話しているな…。
その名は「玉製家(ぎょくせいや)」。
注文を受けてからお父さんが仕上げ、お母さんが売る。
30分ほどで列の先頭になった。きなこ3個、粒あん3個を詰めてもらった。合計882円。
急いで京都の宿に戻る。阪急電車の中で広げて食べたかったが混んでいた。うう、我慢。
ただいまー、おはぎ買って来たよー。
7歳の甥っ子2人と姉、1歳9カ月のケイにふるまう。
半殺しごはん、ふわっ。あんこもかろやか。いままで食べていたおはぎとは別物だわ。
ぼたっとした感じがない。「きなこ」だけがたっぷりまぶされているのもたまらない。
5人で奪い合う。前夜に買った鯖寿司が不人気だったのに懲りて、おはぎは少なめに買ったのに大うけした。難しい…。
ギナたちも道頓堀クルーズの船上でペロリ。
西洋の人にあんこはあまりウケないのに。さすがイラクやクロアチアを渡り歩いた猛者だけあるわ。
クルーズのあと夫妻は大好きなアウトドアメーカー・モンベル本社ショールームで買い物して大満足したとか。
よかった…って、私は何にもしていないか。
玉製家 大阪市中央区千日前1-4-4 14:00〜売り切れまで 木・日・祝休み