京都・嵐山、秘密の花見ボートこぎ

6:00、祇園〜京都御苑、10キロラン。

まだ眠りこけている丁稚ケイを姉に任せ、寺町通を下る。

高瀬川、鴨川、祇園白川、円山公園…。千年の都に咲き誇る桜は艶っぽい。駆け抜けながら思う。この街で3年半、暮らしたんだな。夢みたい。

7:30、志津屋のクリームパン。

姉と甥っ子ユウとリョウ、ケイは連日、寺町通にある進々堂に通っていた。

京都のもう一つのパン屋チェーン、志津屋へ連れて行った。

あ、ちょうど焼きたてのクリームパンが出てきた。ずっしりクリームの手ごたえがある。130円。まだクリームがぽっくりしていてホヤホヤで、たまらない。

鴨川沿いを散歩。

街中にも結構、公園があるな。住んでいたのに気付かなかった。兄弟みたいな男子3人は桜よりシーソーに燃えていたが…。

JR伊勢丹で「焼き肉の弘」の黒毛和牛姿焼き弁当。1890円。

「弘」はアトリエの近所にあったからなつかしい。ハー、ニクニクしい。ガツンといただいた。

バスで嵐山へ。

地元のマリさんがガイドしてくれた。押すな押すなの満員電車みたいな渡月橋を抜ける。川沿いをずんずん上流へ歩く。屋形船が行きかっている。

幸せの黄色いボート。

あった。小さな手漕ぎ舟が。

まだジョギングを始めたばかりの4年前、マリさんが教えてくれた。対岸の「琴ケ瀬茶店」に行くための足だった。

なつかしい。4年前も満開だった。「お花見 引きまわしの刑に処す」。自転車に乗ったマリさんの素敵な殺し文句で桜の名所を訪ね、走り回った。

甥っ子たちは怖がりつつ、大喜び。

「行くよー」。マリさんが船を川面に押し出してからヒラーリ、飛び乗った。

相変わらずオトコマエだなあ。またまたほれ直した。

甥っ子のオールさばきは危なっかしい。そういう私も4年前、ちっとも前に進まなかったっけ。

うねうね蛇行しながら桜色の山に抱かれた対岸にたどり着いた。

茶店であたたまろ。

ちょっと寒い。おでんにみたらしだんご、鍋焼きうどん、とれたての川魚の天ぷら…。争って食べる。

ユウとリョウは店の男の子にパンをもらい、カモにやっていた。

ケイもやってみたら。パンのかけらを渡す。パクリ。あら、自分で食べていた。

マリさんと別れてJR二条駅へ。

二条駅もなつかしい。アトリエが近くにあったから。

店がコロコロ変わっていた一角がコメダ珈琲店になっていた。

コメダがない福岡の3人は入ったことがないという。

じゃあ行こう。名古屋系で京都名物じゃないけれど。子ども椅子があるのもありがたい。

名物「シロノワール」を。590円。

温かいデニッシュにソフトクリームがとろける。5人で分けっこした。

「ボク、これもーらお」。ユウがめざとく、真っ赤なチェリーをとっていた。

三条会商店街から錦市場を抜け、四条河原町まで歩く。どこまでも歩けるな、京都なら。

出町ふたばの豆餅。170円。

京都にいたころは出町柳にある本店までジョギングして朝イチに買い、鴨川べりでほおばった。

高島屋でも売っているけれど、すぐ売り切れる。あるかな…。地下へ急ぐ。

あ、まだあった。

やわらかいだけじゃなくて、しっかりコシがあるお餅、絶妙の塩加減…。あちこちの「おまんや」さんのを試したけれど、やっぱり「ふたば」のが最高だな。

大極殿本舗のカステラ。

京都の看護師アケミさんからいただいた。わぁ、大好物。

お店も包装紙も、働いている京都ジェントルマンと呼びたくなる店員さんまで渋い。

「イクイク詐欺被害者の会・京都支部」代表のマリさんに言った。

インドに行っても紅葉のころ、また京都に来ますから。「ホントに〜」。まだ目が半信半疑だったが。

東京、京都と満開に立ち会えた。今年は本当に「桜運」があった。花に見送られ、また旅立とう。