夢をのせて走るフードトラック。
道路やビーチ沿いでスナックやランチボックスを売る。
「地元の人がやっているフードトラックは、夢と希望を持って始めた商売って感じが好き」。
流行のパンケーキやおしゃれなレストランより、道沿いの夢を追いかけたい。
Hawaii Web TVのシノグさんの思いも素敵だな。ぜひ訪ねたい。
カパフル通りの一角へ。
いくつかトラックが集まるようになったという。
いたいた。ハワイのラーメン・サイミン、タコス、最近ちょくちょく見かけるようになったというクレープ…。
シノグさんの注目は、ワッフル。
「でも私には今川焼きに見えるんです。何しろ今川焼き器を使って焼いていますから」。
日系の文化が根付くハワイらしい。
紫色のロゴが目印。「whatcha fillin’」。
かわいいトラック、いかにも若い女性がやっていそうだな。
店主のクリスティー、29歳。会社勤めから転身。
姉妹で今年1月、はじめたばかりだった。
うんしょ。背伸びして真新しいトラックの中をのぞく。あ、あったあった、ガス火で焼く立派な今川焼き器が。
どうして今川焼きだったんだろう。
格子状に焼けるベルギーワッフルでも試作した。日系の彼女は「あ、今川焼があるじゃない」と気づいた。手ごろなサイズも食べやすくていい。
甘いも塩味も3ドル。
きょうのお勧めは、「カニかまにグリーンオニオン、クリームチーズ入り」だった。
ほよよ、注文してみよう。
焼きたてをロゴ入り紙袋に入れて渡してくれた。あちあちーっ。
とろーり、ホワイトソースのグラタンみたい。
生地は今川焼きよりふんわりしていて、ワッフルっぽい。
ハワイとしては量、値段ともにお手ごろなのもいい。
1歳9カ月の丁稚ケイが半分以上、ほおばってしまった。おいおい、紙袋まで食べなくても…。
メニューの名前もかわいい。
「フレンチ・キス」と名付けられた今川焼き…じゃなかったワッフルは「キャラメルオニオン、ハム、マヨネーズ、グリュイエールチーズ」入りだった。
甘いのはリンゴ入りに。
コンデンスミルクと煮リンゴがとろり、やわらかい生地に包まれていた。
甘いほうは今川焼きに近くて、むしろ「何か違う」感がしてしまう。
カニかまぐらい「ぶっ飛んで」くれたほうがいいな。
我が心の大和魂に「別ものセンサー」が働いて、むしろ受け入れられる。ハワイ名物になる日も近いかも。
「おらほのラジオ体操」撮影会。
取材の後にシノグさんが言った。「では、ラジオ体操始めます!」
宮城・石巻から始まった復興イベントだった。ラジオ体操で元気の輪を広げよう。
仙台出身で現役ダンサーでもあるシノグさんが「私にもできることを」とハワイ編の発起人となっている。
「おらほー!」。まずは合言葉を叫ぶ。シノグさんがカメラを回す。
フードワゴン前でラジオ体操第一、よーいっ。
ワンちゃんを連れたクリスティーの親類・リックと一緒に腕をふる。
初めてする彼はちょっと、ぎこちない。当たり前か。
シノグさんの模範演技。
思わず見ほれた。さすが現役ダンサー、繰り出す手先から足先まで美しい。
私も頑張ろう。えいっ、えいっ。リックのお手本になろうとばかり、えっちらおっちら手足を伸ばす。
そんなに張り切らなくてもええっちゅーの。まぁいっか、ハワイの青空は何でも許してくれそうだから。