さようなら保育園。
ハワイから戻って丁稚ケイと24時間、べったりになった。
旅していたら同行の友や滞在先に助けてもらえる。
本当にありがたかった。
東京には頼れる親類がない。近くの保育園は100人待ちと言われた。
頼みは区の一時保育だったが今月、値上がりした。
1時間600円だったのが700円になり、お昼ご飯の給食も廃止された。
しかも確定申告で知った。「保育料は経費にならない」ことを。
「なな、なんでですか」。
税務署で腰を抜かした。領収書の束、とっておいたのに。
「食費と同じで生きるために必要でしょう」。ひえー、そう来たか。
じゃあ訊きたい。生きるために必要な保育園が、入園100人待ちって…。
ま、所轄が違う、と言われるだけか。出かけた言葉は飲み込んだ。胸につかえるなぁ。ふんがっふっふ。税務署でサザエさんになる。
丁稚ケイは1歳10カ月に。
バギーに乗るのを全身で拒む。
エビ反りになって暴れる。泣き叫ぶのを押さえつける。「拘束」だなこりゃ。
消耗する。お互いヘトヘトになってしまう。
本当に切ない。バギーを押しながら涙が出た。
携帯が鳴った。
福岡の姉からだった。「あんた、大丈夫なん?こっち来たらええが」。
そういう発想にもならないほど追いつめられていた。
持つべきものは姉だわ。ひとことで救われた。
ハラをくくろう。
バギーを捨てよ町に出よう。公園を駆け回ろう。
東京にいる間にしっかり歩き、歩かせよう。いいチャンスだわ。
おんぶにリュック姿で上野動物園へ。
自宅から3.3キロが長い。ケイはまっすぐ歩かない。
バギーに乗せたら30分余りの道をテクテクテク…。
「危ない」「ダメ」「こらー」。1時間で100回、繰り返したような。
いかんいかん、禁句にしよう。楽しくないもの。
上野動物園で、パンダちゃんマフィン。330円。
郵便ポストもパンダ、お弁当もパンダ、どこもパンダ一色だった。
他の動物、ふてくされないやしないかな、ぐれないかな。勝手に心配する。
明治5年創業、上野精養軒でバニラアイス、520円。
湯島育ちでカナダ在住・ショーコさんに「ぜひ食べて!」と勧められていた。
真っ赤なサクランボ、なつかしい。
紳士淑女たちも銀のさじを口に運んでいたんだろうな。
上野公園のスターバックスでひと休み。
本日のコーヒー300円、キッズ・ココア180円、新緑の眺め0円…いやプライスレスだな。なじんだコーヒーの香りも喜んでいそう。
「うさぎや」のどら焼き、200円。
おいしいとパリの友人に聞いていた。
温かいうちにいただこう。急いで公園のベンチでいただいた。
わ、ぜんざいみたい。やわらかくて、生地も上品、粉っぽさのかけらもない。
2個はいけるな。
湯島天神そばの「つる瀬」のみたらし団子。1本150円。
ショーコさんお勧めその2だった。またしても買うなり小走りで駆け出した。
上野公園に戻ってパクッ。
「ゆしま花月」のかりんとうも通りかかりに買った。200g780円。
おまけしてくれた揚げせんべいも上品で好みだった。
インド旅立ちまであと2週間。
日付の入ったeチケットがメールで届いた。
とうとう行くんだな。ホッとするような、グッと来るような。
日中は公園行脚を楽しもう。ケイが眠った夜、荷造りにとりかかろう。