突撃!保育園探し@インド・グルガオン<上>

インドでホカツ、よーいどん。

引っ越して2週間たった。

1歳11カ月になった丁稚ケイをそろそろ保育園デビューさせたい。

東京ではいつ赴任になるか見えず、本の撮影や準備など「ここぞ」では一時保育でしのいだ。

そもそも近所の認証保育所は「ゼロ歳児は入所100人待ち」だった。入りたくても手が届かなかった。

20校ほども見学した「プレスクール研究家」、ミワさんに弟子入り。

ケイより2週間早く生まれたヒトシ君を4月から通わせているという。

「グルガオンに20校も!あるんですか」。驚く私に涼しげに笑った。

「もっとありますよ」。そりゃそうか。グルガオンの人口は150万人、福岡市と同じ規模なのだった。

おしゃれなカフェでコーヒーとクッキーをいただく。

いくつか「プレスクールいろは」を教わった。

・どこも9:00〜12:30ぐらいまでがプレスクール(幼稚園)で、午後からデイケア(保育園)を実施している。日本でいう幼保一元化した「子ども園」という感じだろうか。

・5月、6月は夏休み時期で、休みに入っているところが多い。ちょっとがっかりしたが、「サマーキャンプ」との名目で実質、授業をしているケースも。

できるだけ早く通わせたい。45℃では外でなかなか遊べない。おもちゃもたいして持っていない。

なにより我がミッション「おやつを作って、書く」に本腰を入れたい。

さっそく翌日、突撃開始。

住所をネットで調べてメモ書きし、運転手さんに渡す。あとはお任せで一番近いところから攻めよう。飛び込みで回ろう。

まずは最寄りのインターナショナルスクール。

歩いても10分ほどだろう。ショッピングモールの裏にあった。

高い門の向こうに白亜の御殿のような校舎が見える。どうやら裏門にたどりついてしまったらしい。

野良豚がゴミをあさり、はだしの子どもたちが座り込んでいた。「10年前までは、どこもこんな感じだったんですよ」。運転手さんが言った。

富の象徴のような学校と、とり残された暮らしが門を挟んで隣り合わせか…。インドらしい。

正門に回る。

イギリスにある落ち着いたホテルみたい。受付で「プレスクールを探している」と伝え、ソファで待つ。うぅ、私たち、迷い犬だったか。

物静かな白人男性に案内された。

クラスは20人、先生1人とヘルパー2人がつく。

教室を案内された。立派な図書館、専任コーチのいる屋内プールに美術室…。

地下は運動場になっていた。

陸上トラックのわきにアイススケート場まであった。す、すごいなぁ。

500人収容のカフェテリアも木目調で、すべてその場で調理する食事が朝、昼と出される。

いや、すばらしい。でも別のことで頭の中がいっぱいになる。

「いったいいくらかかるんだ…」。

応接室に戻る。A4サイズ1枚の紙を渡された。米ドルで書かれていた。

最初にかかる費用について説明があった。登録料100ドル、入学金2200ドル、セキュリティ保証金1600ドル(返還あり)…。

午前8時から午後4時までの場合、授業料は3カ月で1260ドル、とあった。

何かようわからん…。

車に戻る。携帯の電卓で計算した。入学金など初年度にかかる費用を授業料に足して12カ月で割る。送迎付きで月7万5000円になった。

た、高っ。

いやでもスケート場まであるゴージャス設備、日本だったらもっとかかりそう。

考えようによっては「オトク」なのかも。

夏休みで授業再開は7月29日という。おカネだけでなくいろんな意味で論外だったか。そんなに待てない。いや、そもそもお呼びでないか。次探そう、次。

アットホーム早期教育系へ。

地下の受付へ降りる。熱がこもっているな。ほとんどエアコンが効いていないような。

「あら、いらっしゃい。名前はなんて言うの?」。応対してくれたのはいかにもベテラン教師といった女性だった。

とても感じがいい。お値段もぐっと下がった。9:15-18:00で月17000円ほどだった。送迎はないうえ、少し遠いのがネックだろうか。

だんだん調子が出て来たぞ。

3校目はアメリカンスクール。

で、でっかー。高等部(10年生)まであるから当然か。教室の外に小さな机と椅子が2つ、向かい合わせてあった。

「けんかした子のためのものよ。外に出て、机につき、仲直りについて話し合わせるの」。へー、いかにもアメリカ的だな。

初年度の経費と授業料を足してならすと、9時から18時までで月41000円ほどになった。

サリーを着た美しい校長が出迎えてくれた。日本の人にも人気で、2割ぐらいを占めるという。

せっかくインドにいるのにアメリカというのもなぁ。

もっと面白そうなところはないかな。

だんだんノリノリになってきた。しつこいようだが気温45℃、車から飛び降りるとエイヤーッ、覚悟を決めて玄関をめざす。短期決戦で行こう。

もう1日だけ、探してみよう。