9:00、プレスクールに初登園。
一番乗りだった。「サマーキャンプ」期間中のせいか子どもの数は少ない。パラパラと親子が現れる。
インドにもイクメン。
出勤途中らしきパパも2人、見かけた。へーえ。
1歳11カ月の丁稚ケイは2~3歳クラスへ入るはずが、我が大根足に張り付いたまま離れない。ひー。
何人もの先生が入れ替わり声をかけてくれる。
「ケイ、こっちへいらっしゃい」。誘われても口をへの字に曲げ、必死でしがみつく。君、そういうキャラじゃなかったのに。
「だれでも抱っこ」時代は遠くなりにけり。
ちょっとしたすきに木陰に身をひそめる。スパルタで行こう。「ままー」。泣き叫ぶ声が聞こえる。ふふ、その手には乗らないもんね。
私自身は決して自分のことを「ママ」とは言わないのに、いつのまにか「まま」と呼ぶようになっていた。
あっさり先生に呼ばれた。ダメか、やっぱり。
「だれでも初日はこんな感じだから心配しないで。少しずつ」。
最年長と思われる先生が声をかけてくれた。
9:30〜10:10、プール。
ケイは半べそをかいて遠巻きにしているだけだった。東京で1年、水泳教室に通ったのに。
10:10〜10:50、お話の時間。
クラスは男児4人、女児4人の計8人だった。先生2人に「ジョジョ」と呼ばれるヘルパー2人がつく。ぜいたくだな。
10:50〜11:20、スナックタイム。
ケイ以外の7人は弁当箱を広げている。インドの子はロティ(チャパティ)にカレー、日本人のトーマ君、ヒトシ君はおむすびをほおばり始めた。
ケイはおからクッキーだけだった。みんなの輪には入ったが、ぐずって食べようとしない。
先生が言った。「トーマ、ケイにあげなさい!」。あらら、いいのかな。
おにぎり1個を分けてもらった。トーマ君はニコニコして、お菓子も分けてくれた。ありがとう。
もう1人の先生に「これは何?」と訊かれた。ノリだった。「海藻で、スシにも巻く」と雑な説明をする。
11:20-12:00、ダンス。
また別の先生2人に交代した。授業ごとに先生がつくなんてすごい。
ズンチャチャ…。音楽が流れる。もう何度もやっているのだろう、子どもたちは自然に背中で手を組んでいる。
わ、ボリウッドダンス風。
ペアで踊る先生もかわいくってノリノリだった。ピンクレディーみたい!古いか。
「UFO」も「ペッパー警部」も勝手に体が動く世代の私、踊らないわけがない。
腰をふり、手をつないでスキップする。「あなたが一番、楽しんでいましたね」。おしまいに先生が言った。もう覚えたぞ。
12:00-12:30、クッキング。
先生2人と帽子をかぶったコックさんが担当だった。
「サンドイッチを作りましょう」。パニーニ(チーズ)にニンジン、タマネギが入っていた。
「塩とブラックペッパーを少し混ぜます」。コショウを入れるのね。大丈夫かな。
2,3歳なので混ぜるだけだが、みんな楽しそう。「ミックス、ミックス!」。スプーンで混ぜ混ぜする。
サンドイッチを三角に切って、いただきます。
あ、おいしい。あっさりしていて食べやすい。トーマ君は4切れも食べていた。みんなで拍手する。
おしまいに指遊び。
「マクドナルドおじさん」の歌を踊る。イヤイヤヨー。私も英語のレッスンになるな。2,3歳児並みか…。
12:30、デイケア(保育)へ。
半地下のホールでランチをいただく。
ムング豆のスープ(ダル)、パニール(チーズ)炒め、ライタ(ヨーグルトサラダ)、ご飯、ロティ(チャパティ)だった。
どインド給食、辛すぎないかな…。
心配は杞憂だった。パニールのカレー炒めもダルもお子さま向けでやさしい味わいだった。もちろんスパイスもほのかに感じるので食がすすむ。おいしい。毎日通いたい。
デイケアは我が物顔。
午前中とは別人だった。プレスクールは「授業」だったから緊張したのだろうか。デイケアは思い切り遊べるようで、私には知らん顔でミニカーを手に走り回っていた。
13:30、園を出る。
心がポカポカあたたかい。
先生もディディたちも、みんなが笑顔でやさしく接してくれる。何より楽しそうで、ぐずる子はすぐに抱きしめ「アイラブユー」と繰り返す。すごくいい雰囲気だった。いやされた。
プレスクール以外はほぼ全敗、スムーズに行っていないから奇跡に思える。ワクワクする。ズンチャチャ…。帰って1人、習ったダンスを踊ってみる。この日5回目の停電の暗やみで窓ガラスに映る姿は、酔っ払いの千鳥足にしか見えないが…。私の方がケイより10倍、楽しんでいるな。