プレスクール2日目、あえなく欠席。
1歳11カ月の丁稚ケイが夜中、熱を出した。とはいえ40℃を超えても元気で、走り回っている。
ぐったりしていないから大丈夫だろうけれど…。朝になっても38℃だった。休ませることにした。
双子をゼロ歳児から保育園に預けた姉からメールがあった。
「保育園デビューの典型的パターンでは。ケイクンも戦っているねえ。2歳になると熱を出す回数は一気に減ります。1歳のころはしょっちゅうで<またか>だけど、2歳で保育園を休むのは年2〜3日もあるかないかだったと思うな。保育園で強くなるよ、鍛えられて!」
そうか、産みの苦しみ、頑張ろう。
9:00、2日ぶりに登園。
「ケイ、昨日はどうしたの?」先生たちが話しかけてくれる。園に入るなりイヤイヤ攻撃が始まった。輪に加わろうとせず、遠巻きにしている。
なじむどころか後退してるやん…。
小さな一歩、靴を脱いだ。
靴下は嫌がったのでそのままにしていたら、転びながら逃げ回る。
台所洗剤を使った科学の実験、ダンスに粘土細工のクラス…。
盛りだくさんなのに。機嫌が直るのは一瞬だけ、あとは床にひっくり返る。
抱っこしようとしても拒まれ、手がつけられない。途方に暮れる。
「ケイはどうしたいの?何がしたいの?」
科目ごとに入れ替わる先生ごとに訊かれる。ワテにも分かりまへんがな…。
かと思えば私の足にしがみつき「オワイヨ」「オワイヨ」と繰り返す。怖いよ、だろうか。だれもかみつかないよー。そう言っても聞かない。
12:30、デイケア(保育園)へ。
3時間半、ずっと泣かれっぱなしだった。私も泣きそう。心のバネがすり切れそう。
入り口にある広いテラスでぼやく。「私も消耗してしまって…」。
先生たちに慰められた。
「ゆっくり、ゆっくりね」「3日でなじむ子もいれば2週間かかる子もいる」「みんな最初はそうだったわ。もっとすごかったわよ」。
ホッとする。少しずつ、と言い聞かせる。でも、どこかで「早く」と思っているのだろうな。
お楽しみのランチは…。
カディパコラ(野菜天ぷらとヨーグルトのカレー)、オクラ(ビンディ)のカレー炒め、キュウリ、ロティ、ご飯だった。
野菜の天ぷら(パコラ)がやわらかくて、白身魚のすり身みたい。ヨーグルト入りカレーもちょっとスパイシーだけれど、やさしくまとまっている。
ケイは泣きじゃくりながらも、しっかり野菜天だけ食べていた。
オクラは揚げてあるのか、歯ごたえがちょうどいい。どれもこれもレシピを教わりたい。
13:30、強硬手段。
だれが抱っこしようとしても手を振り払い、この世のすべてを拒むかのように跳ね回る。
ヘトヘトになっていたら、先生2人に耳打ちされた。「少しの時間、私たちに任せて。ママがお仕事をする間、ボクはここで勉強する。それがだんだん分かるはず」。
東京の一時保育でも別れ際は泣いても、出て行けばすぐ遊びだした。
「ままー」。半地下の教室からケイの叫び声が1階まで響いている。グッとくる。いや、大丈夫なはず。
16:00、再び園へ。
デリーの日本大使館で用事を済ませてから帰って来た。なぜかリュックを背負っているケイはミニカーに夢中で、こちらに気付かない。ホッとする。
「出て行ってすぐ泣き止んで、サッカーをしていましたよ」。
先生が携帯で撮った動画を見せてくれた。小さな画面の中で、ケイはボールを蹴ってはしゃいでいた。あぁ、よかった。さあ帰ろう。
少しずつ、でも大胆に。バランスが難しい。
車に乗って10分後、道ばたに止められた。
あれ、何だろう。今日の運転手さんは全く英語が通じない。どうやら罰金を払っているようだった。シートベルトをしていなかったからか。
気温43℃、停まった車の中で15分…。
何かの罰ゲームか。じりじり焦がされているような。トホホ、こんなのありー。