インドの命綱・週末バンコクへ(上)

金曜23:30、デリー発TG便。

タイ国際航空で3時間半、明け方のバンコクに降り立った。

5:30、迎えが…来ない。

送迎付きのはずが、お約束の名前入りボードを持った人が見つからない。おかしいな。出口、他にもあるのかな。ハワイもそうだったし・・。

探し回る。たまたま尋ねた女性に言われた。「あー、私のお客さん!私、昨日、迎えに来たよー」。

えー。慌てて予約確認書を引っ張り出す。あちゃー、前日の日付だった。インドの旅行会社、やってくれるな…。いや、ちゃんと確認しないとダメだな。

10:30、スーパー行脚。

スクムビット通りのホテルにたどり着く。インド・ムンバイ駐在の友・スギサマと合流する。デリーを含めてインド駐在の長い彼はバンコクの達人だった。案内してもらおう。

まずは伊勢丹バンコク店へ。

デパ地下…ではなく5階に食品売り場があった。日本だー。スギサマは慣れた様子で買い物かごを手にする。

空港まで配送サービスがあるのが何と言ってもありがたい。

ま、まばゆい。エノキに涙。

のっけから涙しそうになった。野菜売り場でつるんとした色白キャベツがある。あ、ゴボウまで。しかも安い。エノキダケ1袋30バーツ(90円)なんて。

きちんと整列してパック詰めされたトマト、カット野菜もある。伊勢丹だけじゃない、どこのスーパーでもそうだった。

先っぽがしなびれていないニンジン、久しぶりに見た。

オーガニックかそうでないかだって選べる。

何てありがたいんだろう。目頭が熱くなった。本当に涙が出た。

和食に飢えているわけじゃない。だってインドで毎朝、ご飯にみそ汁だし。

「食の安心」に飢えていたんだな。

口にするものが安心して買える。「これ大丈夫かな…」と手が引っこむことがない。

インドでは気温45℃の日々が続くうえ、まだおっかなびっくりだから。

「バンコクは我々の生命線」。

かわいらしくストローで豆乳を飲みながらスギサマが言った。本当に、心から。実感する。

12:00、ポロ・フライド・チキンへ。

スギサマに案内してもらう。骨付き鶏のから揚げで有名な店で、ちょうど学生たちでにぎわっていた。「コンパかな」。死語を発する。

ニンニクチップのたっぷりのっかったチキンにかぶりつく。

パパイヤのサラダ・ソムタム、チャーシュー、魚のフライ・・。

久しぶりだな、こういう外食って。お腹いっぱい、バンコク1食目にして暴走する。

泊まった宿の向かい、マンハッタンホテル。

ううむ、なぜか覚えがあるのは何だろう。

半日後に思い出した。

キャビンアテンダントにあこがれていた大学3年のころ、バンコクを旅した。

真っ先に向かったのがマンハッタンホテルにあった「象さんバッグの店」だった。CA御用達として当時、愛読していた「スチュワーデスマガジン」に紹介されていた。

きんちゃく袋やポーチなど、同じものを買って帰ったっけ。

見果てぬ夢、いまだにそこはかとないあこがれが…。

まだ店、あるだろうか。行ってみた。

記憶では2階にあったのだが…。

あ、ロビー横に店がある。うれしい。

象さん柄だけではなくたくさんあるのだけれど、やっぱり象さんを選んでしまった。

ハンカチ30バーツ(90円)、ティッシュ箱65バーツ(200円)。

スギサマ案内、さらに2店。

激しい夕立にふられ、ビールを片手に雨宿りする。雨上がりに風が吹く。

しっとりした空気さえなつかしい。バンコクは風までやさしいな。

「キャベツとコンドーム」レストランへ。

避妊具をまとったマネキン人形に迎えられた。あっけにとられる。

タイでコンドーム普及に力を尽くした元・副首相がオーナーだった。

モナリザがコンドームを手にしてほほ笑んでいるテーブルに案内された。

奇抜な感じだけれど、お味も定評があるのだとか。

ハーブの葉っぱにショウガやフライドココナッツを巻いたおつまみ、特製サラダ…。どれも口にあう。

中華街のレストラン「和成豊」へ。

乾物屋さんや窓辺に下がったチャーシュー…。かかりつけの街・香港みたいだな。

活気があって混んでいる人気店って、いるだけでパワーチャージできる。

何とか席にありつけた。

いきなりデザート、ミルクシロップ入りギンナン。

あちこちの店でギンナンを大袋入りで売っていて、欲しいなと思っていたところだった。甘いギンナン、意外にぴったりでクセになりそう。

カキ入り揚げお好み焼き、絶品。

我が故郷・岡山のカキオコを思い出す。でも全然、別もので段違いの味だった。カリカリして香ばしい。モヤシまでおいしい。

ああ、生命線だわ、本当に。ホテルでまた感動する。停電も水漏れもないんだ、ここは。

うんとパワー満タンにして帰ろう。