インドの保育園キッチンで給食修業〜6月編(下)


保育園のキッチン、再び。

取材に「待った」がかかったのが3週間前だった。2歳になった丁稚ケイの送迎のついで、しつこく聞く。まだダメかな?

校長に確認してから、主任コックが夏休みを終えて戻ってきてから…。あっというまに6月最終週になった。月替わりメニューだからラストチャンスになる。

休み明けのレイカ先生に訊く。「台所で見学させてもらえませんか」。

少し苦笑いしながら首を横に振った。OKだった。事務スタッフにも言う。無言で首を横に振った。どこかでまたストップがかかるかもしれないけれど、とりあえず大丈夫だろう。

10:30、4階のキッチンへ。

久しぶりにコックのロッキーさんに会った。笑顔で迎えてくれてホッとする。

6月の木曜日の献立は…。

12:30、ランチ ブラックダル(豆のスープカレー)、キュウリのドライカレー、クミン入りチャーハン。

4:00、おやつ 野菜のポハ(おコメフレーク炒め)

5.00 、おやつ バナナ

キュウリのドライカレーは…。

ガーリックとジンジャーペーストにクミンをパラリと散らす。

刻んだタマネギを入れてじっくり炒める。ボウル一杯の角切りキュウリを炒めてクミンパウダー小さじ1、ターメリックパウダー小さじ1を散らす。

さらにチリパウダー小さじ2分の1、クミンパウダー小さじ1、コリアンダーパウダー大さじ大さじ1、ギー大さじ1、ざく切りトマトをお玉2杯加える。

乾燥コリアンダー大さじ1ほどを散らす。味を見てからトマトピューレを大さじ2ほど足していた。

仕上げに箱入りのガラムマサラをさらさら、かけていた。キュウリの食感が楽しいな。

ブラックダルは…。

おみそ汁のような存在・ダル(豆)のスープだった。いつも豆の種類が替わる。きょうは「ブラックダル」だった。

ガーリックとジンジャーペースト、刻みタマネギを炒める。

ざく切りトマトをお玉一杯混ぜる。ゆでたトマトを皮ごとミキサーにかけてピューレにして、ボウル1杯ほど加える。

チリパウダー小さじ1、クミンパウダー大さじ1、コリアンダーパウダー小さじ1、ターメリックを小さじ1加える。バター大さじ1、おろしたてのショウガを1かけ分ほど混ぜる。

圧力鍋で煮ておいたブラックダルを煮汁ごと、どっさり。

ギーを大さじ3ほど、ヨーグルトと牛乳をそれぞれコップ1杯分足して5分ほど煮込む。
乾燥の葉っぱを散らす。ロッキーさんは「カストリマティ」と言った。何だろう。塩は小さじ1ほど。

味を見てからギー大さじ2、乾燥コリアンダーを散らしていた。

豆のとろみがやさしい。

クミン入りチャーハン(ジーラ・ライス)は…。

バターとギーをそれぞれ大さじ3ずつ溶かす。大豆油をお玉に1杯、熱する。

ジーラをふたつまみ散らしたら、細かく切ったニンジン、カリフラワー、インゲンを炒め、ハルディ小さじ2を混ぜる。

炊いておいたパラパラの長粒米をどっさり加え、強火でガンガン炒める。

塩小さじ1、乾燥コリアンダーを散らす。火を止めてからも混ぜ続けて出来上がり。

チャパティも毎日、こーねこね。

冷凍しておいたら?と思うのだが、そういう発想がなさそうだった。まだ冷蔵庫のない家庭だって多いのだから当然か。専用の鉄鍋にのせてから、直火であぶる。粉の香りがたって、いつも幸せになる。

や、やさしい味。再び感動。

3週間前にも思ったことを確信した。

いまのところインドで出会ったカレーで一番、口にあう。どの料理もやさしくて、味わい深い。

街の料理店のは少々、スパイシー…というより、しょっぱいのだ、私には。

おまけにギーがたっぷり入っているのだろう、菜食メニューでもずっしりお腹にくる。保育園のはパクパクいただける。

金曜日の献立は…。

12:30、 ジャガイモとピーマンのドライカレー、ミックスダル(豆のスープカレー)、ミルクがゆ、ラチャパラタ

4.00、おやつ カード(Hung Curd)のサンドイッチ

5.00、スイカ

ミックスダルは…。

油をお玉5杯分ほど入れてクミン、コリアンダーシードをひとつかみ入れる。刻み玉ねぎを入れる。油通しする感じで火をさっと通す。

ざるにあけて油気を切る。ジンジャーとニンニクペーストを大さじ2ほど入れて炒める。ざく切りトマトをカップ1ほど、塩小さじ1入れる。

ターメリック大さじ1、チリパウダー小さじ2分の1、コリアンダーパウダー大さじ2、クミンパウダー大さじ1、お玉3杯ほどの自家製トマトピューレ(ゆでたトマトとヨーグルト1:1の割合でミキサーにかける)を混ぜる。

ミックスダルは、チャナダル(ひき割りヒヨコ豆)、ムーンダル(皮なしひき割り緑豆)、マスルダル(レンズ豆)、ハラフダル(調べたが不明)、4種類だった。

ゆで汁ごと加え、ベイリーフ5〜6枚を洗って混ぜていた。

強火でぐつぐつ煮る。仕上げに乾燥葉っぱ「カストロマティ」2つかみ、塩小さじ1、ガラムマサラをサーラサラ。

ジャガイモとピーマンのドライカレーは…。

油で刻み玉ねぎ、細かく刻んだトマトを炒める。ターメリック、チリ、コリアンダー、クミンの粉末をを加える。自家製トマトピューレをお玉2杯加える。揚げておいたジャガイモとピーマンを混ぜて出来上がり。ハァ、マイルドにスパイスが主張する。

ミルクがゆ、カルダモン味。

世界中にあるミルクがゆは、インドではカルダモン味だった。定番おやつだな。

わかした牛乳にゆでておいたコメをカップ3杯、砂糖カップ1杯も足す。カルダモンパウダー小さじ4を混ぜ、刻んだナッツを散らす。

冷やしておいたのをいただいた。カルダモンが香る。コメも小さい粒でさらっとしている。

タピオカと思えば気にならない。甘すぎず、おいしい。

ラチャ・パラタ(お焼き)は…。

いつも作るチャパティに比べて粉が黄色っぽい。全粒粉(アタ)で作っているようだった。

耳たぶのかたさにこねて、ふたをしてしばらくおく。ピンポン玉2個分ほどをとり、丸めてからめん棒で押して手のひら大にする。

ギーを塗ってから、じゃばらに折る。カタツムリのようにまるめ、さらにめん棒を転がして直径20センチぐらいにする。フライ返しで押さえながらパリパリに焼く。

チャパティよりサクサクで大好きだな。ロッキーさん、本当に上手なのだった。