パリ、チョコレートの旅<4>


7:30、トロカデロのカフェ「カレット」へ。

エッフェル塔を眺めながらセーヌ河を渡る。きょうもチョコレート・レッスンだ。

エクレアがおいしいカフェ「カレット」へ入る。

ミニヴィエノワズリの朝食セット、9.5ユーロにした。クロワッサン、パン・オ・ショコラ、レーズンがぐるぐる巻かれたエスカルゴにカフェラテがつく。

有名なエクレア8ユーロも。メグミさんは「塩気を」と、鶏のサンドイッチ23ユーロにしていた。どれも強気な値段…。

9:00、16区のアラン・デュカス料理学校へ。

2日前に続いて2度目のチョコレート・レッスンを受講した。テーマは「アントルメ(ホールケーキ)」「チョコレート・ムース」「チョコレート・パフェ」の3種類。

ヘーゼルナッツを砕いてダックワーズ生地を焼く。その上にサクサクしたパイ生地入りガナッシュを流す。パッションフルーツのコンポートにチョコレート・ムースを広げ、さらにチョコレートでコーティングした。

4層仕立て!「これ、おうちでは絶対しないなー」「パッションフルーツも手に入りづらいから、何がいいだろう」。

編集者メグミさんとレシピ本の構想を練りながら作る。作りやすく、でもパリが漂うチョコレートを再現したい。腕のみせどころだな。

お気に入りは、チョコレート・クランブル。

3種類のデザートを作ったが一番、気に入ったのはシェフが即興で作ったクランブルだった。アーモンドパウダー、砂糖、バター、ココア、小麦粉、グリュエ・ド・カカオ(カカオ片)を混ぜて指でつまんで焼くだけ。ムースに散らして召し上がれ。ムースをすこーし、からめるだけでぐっとくる。参加した6人とも、焼きたての天板から指でつまむ、つまむ。

「おいしい」って共通なんだな。本で再現決定だわ。こういうのこそ、面白い。

14:00、秘密のチョコ工房を探せ。

パリ在住ピアニストの友・ヨーコさんが1年前、案内してくれたチョコレート店を思い出す。

「本当に小さい店で、ひっそりしていて、どこかチカコサンの京都のアトリエみたいな感じなんですよ」。

そう言いながら連れて行ってくれたのだけれど、残念ながら店が閉まっていた。

いま日本でコンサートツアー中のヨーコさんにメールで場所を聞く。「シャトー・ドーの駅から歩き、10区の区役所の斜め向かいあたり」。

住所も通り名も分からないが、このあたりかな…。アフリカ系の美容室や洋服屋さんが立ち並ぶシャトー・ドー通りを歩く。ええと、ここかな、違うような…。

通り過ぎてレピュブリック広場までたどり着いてしまった。

引き返してようやく見つけた。ミッシェルさんの店。

3年前にオープンしたという。店そのものは1892年から続く古さだった。へーえ。

あった、あった、割りチョコ。

「これぐらい」というと、その場でバキバキ、割ってくれた。100g4.5ユーロ。

いいな、いいな、大好きだな、こういう店。ガイドブックには決してのらない、ひっそりとしたたたずまいがいとおしい。ヨーコさん、気になってふらっと入ったんだろうな。姿を想像する。かわいいな。

「15日〜8月19日まで夏休み」と張り紙されていた。よかった、間に合って。

15:00、サンマルタン運河でプチ・ピクニック。

レピュブリック広場に近い評判のパン店「デュ・パン・エ・デジデ」でパンを買う。べーこにゃオリーブの入ったおかずパン、お約束のパン・オ・ショコラ、オレンジの花の水が香るエスカルゴを買う。合計6個で10.8ユーロ。

17:00、「パリの合羽橋」をハシゴ。

食材店「G.Detou」、調理道具専門店「BOVIDA」「MORA」をはしごする。セール中だから目移りする。日本では多少、高くても何でも手に入るが、インドではそうも行かない。製菓用チョコレート1キロ、温度計…。

試作に必要なものを買い足しておこう。

頭の中にぐーるぐる、アイスクリーム・マシン。

インドではなかなか、おいしいアイスにも出会えない。家庭用のマシンを持って来てはいるが、もっと滑らかに作れる道具が欲しい。599ユーロするマシンを百貨店で見かけて以来、頭から離れない。どうしよう、買おうかな、どうしようかな。

「BOVIDA」ならもっと安くないかな。それとも、もっとしっかりした業務用があるかも…。あったらどうしよう。うっかり買いそうで怖い。

どちらもなかった。ちょっとがっかりするような、ホッとするような。どっちやねん。

ひとりで悩んでいたらリサさんが言われた。「その調子じゃきっと買うでしょうね」。そうだね、迷ったら買いだ、買いー。

とはいえ荷物、もう20キロを超えているのに…。どうする気だ私。