メープルシュガーの機能性 その3

お肉にも含まれるゆで卵臭を消して、お肉をやわらかく!

(参考資料:「メープルシュガーの食品加工における機能性」香川大学農学部 早川 茂教授)

お肉にも含まれる“ゆで卵臭物質”を発生させないメープルシュガーの不思議

固ゆでしたゆで卵って、イオウ温泉のあのニオイがしますよね。
その原因は、卵白を強く加熱するときに、動物性たんぱく質が変性してイオウを含むアミノ酸が分解され、“ゆで卵臭物質(硫化水素やメルカプト化合物)”ができるからです。
ところがメープルシュガーには、その発生を抑える働きがあるらしいのです。

◎さあ、実験です。

実験には、試験紙(ろ紙シート)8枚を使います。

ふつうの状態では白色ですが、“ゆで卵臭物質”の硫化水素があると反応して色が変わります。
(試験紙に塗布したクエン酸鉛が、硫化水素と結合して黒褐色の硫化鉛に変わります。
色が濃いほど硫化水素が多いことがわかります)

1)卵白と水を4:1で溶かした卵白水溶液を作ります。

8つに分けて、何も加えない卵白水溶液、メープルシュガーを加えた液(2%、4%、6%、8%、10%の5種類)、砂糖を加えた液(2%、4%の2種類)を用意。
いずれも90℃で20分間、加熱しました。

2)加熱中のそれぞれの卵白水溶液に試験紙を近づけて、発生する“ゆで卵臭物質”を吸着させます。

試験紙の色が濃いほど“ゆで卵臭物質”がたくさん発生している証拠です。

卵白水溶液を加熱した時に生成する硫化水素のメープルシュガーによる抑制効果

卵白水溶液を加熱した時に生成する
硫化水素のメープルシュガーによる抑制効果

卵白:水=4:1
90℃、20分加熱
1%クエン酸鉛シート

(わかったこと)

メープルシュガーが0のときと比べると、加える量が多いほど“ゆで卵臭物質”の発生量が少なくなることがわかります。

砂糖を加えた場合は、量にかかわらず、何も加えていない0の卵白水溶液と同様に“ゆで卵臭物質”が発生しています。

このことから、硫化水素の発生を抑えるのはメープルシュガーならではの機能ということがわかります。

“ゆで卵臭”がないうえに、お肉をやわらかくする働きも

メープルシュガーにはタンパク質の変性を抑える働きがあるのです。

メープルシュガーに含まれる糖や豊富なミネラル、リンゴ酸が、その不思議な働きをする成分。
メープルシュガーを加えて動物性食品を加熱すると、糖による<変性抑制作用>と有機酸やミネラルによる<pH緩衝作用>が働いて、タンパク質が過度に変性するのを抑え、“ゆで卵臭物質”をできにくくするのです。

香りのマスク効果も加わって、おいしい香りに仕上げます。

メープルシュガー特有の香気成分のピペラジン誘導体には、あの香ばしい香りでイヤなニオイを感じなくさせる“香りのマスク効果”があることを[その2]でご紹介しました。
メープルシュガーは、同じ働きをここでも発揮。揮発性のメルカプト化合物をマスクすることによって、“ゆで卵臭物質”をやわらげてくれるのです。

プラス、うれしいおまけ。お肉がやわらかく仕上がります。

このメープルシュガーが持つ、「タンパク質が過度に変性するのを抑える働き」とは、食感でいえばお肉が硬くなるのを抑えるということ。
事実、メープルシュガーをもみ込んだ焼肉やメープルシュガーを加えたシチューやカレーは、お肉がワングレードアップしたやわらかさとジューシー感になります。

卵料理やお菓子、デザートも、また肉料理や魚料理も、メープルシュガーならさらにぐんとおいしく変わるのです。