インドお引っ越し編(上)荷出し完了

5月1日、魔法の手。

千葉・市原で「mai cafe」を営むタエコさんからだった。

「水・木曜日はお店がお休みなので、ケイ君を預かりましょうか?」。

やさしい言葉、涙が出た。その言葉だけで乗り切れます…と言いそうになって、止めた。

1歳10カ月の丁稚ケイと一緒に公園行脚、夜はバタンキュー、だった。

自らリングに白いタオルを投げ入れたい。ノックアウトだ、もう。そんな気分だった。

救いの神の手、ありがたく甘えよう。

数時間だけ預かってもらうつもりが結局1晩に。

「うちは1人増えても、あんまり変わりませんしね」。

30代にして4児の母は笑った。はー、もう脱帽しまくりだ。

こういう人には絶対に勝てないな…って、勝ち負けじゃないけれど。

7人家族に居候したケイは…。

飼っているヤギやニワトリたちとたわむれ、夕食のパスタもサラダも、鶏の煮込みも全て食べたという。

あぁ、よかった、預けて。9回裏のピンチに現れた救世主だった。

おまけで知った。Mai Cafe チョコレート・プロジェクト。

お礼にサンフランシスコ土産のチョコレートを渡したら、たいそう喜んでくれた。

「カカオ豆を自ら焙煎して、チョコレート作りに取り組みたい」。

タエコさんと夫ヨータさんが夢をあたためているという。すごい、応援したい。

Mai cafe

おかげで30時間、一気。

それ、やっちゃえーっ。銀行や郵便局へ行き、インド行きの買い物をする。冷蔵庫を洗ったり、地下の物置を片づけたり。

たいしたことではないけれど、子連れでは全然できなかった。たった2時間でバシバシ片付く。やったー、爽快だわ。パンパンッ、両手をたたきたくなる。

「ご近所さん」にも突入しよう。

カフェ「八百コーヒー」、いつも行列の千駄木にある「つけめんTETSU」を攻める。通りかかるたびに気になっていた。去り際になってようやく入れた。

別れのビフカツ、夢に出そう。

恩人ヒロミさんとも急きょ、会えることになった。「子連れでは行きづらくて食べたいものあるかい。思いついたら速攻で送れ〜」。メールが来た。

30秒後にメールを送り返した。「女子っぽいところ!」。

すぐに予約してくれたのが馬喰町の問屋街にある「フクモリ」だった。

山形の幸をこじゃれ空間で味わおう。塩でいただく山形の生野菜、イチボのビフカツ…ああ、インドで夢に出てきそう。

タフにしてきめ細やかな気配り、すごすぎる。

ヒロミ姐さん、世界中、かばん持ちとしてついていきます…って、付きまとわれても困るだろうけど。

フクモリ

引っ越しは1時間。

ケイを車で送り迎えしてくれたタエコさんが、棚やこたつ、照明、バギー…こまごまとしたものまで引き取ってくれた。

おかげでモノを処分することなく、あっというまに引っ越しそのものは終わった。

段ボール箱13箱を運び出した引っ越しスタッフが言った。「重量オーバーです」。あっちゃー、1箱、置き去りにしなくては。

迷って食器を入れた箱を岡山の実家送りに回した。

合計12個、189キロになった。

さらにリストを見ながら質問された。「パン焼き器って、リチウム電池、入っていませんか?」

へえ、どうだろう。航空便には持ちこめない。「最近、厳しいんでねぇ…」。

インドまで無事に飛んでくれるかなあ、私のパン焼き器。

打ち上げに焦がしバター・キャラメルアイスを。

がらんとした…って、もともと仮住まいだけれど。やっぱりそれなりに感慨深い。1年10カ月、お世話になった部屋をあとにする。

合羽橋「Bridge」で焦がしバターキャラメル味とマスカルポーネ・ラムレーズン味を盛ってもらった。400円。スカイツリーを眺めながらいただく。

子どもの日の東京、さわやかな快晴だった。いい日、旅立ち〜。

あさってには40℃のインドに向かうんだな。まだ現実味がない。

食べ忘れたもの、ないかな。そればかり考えているのだった。