デリーで結婚披露宴

デリーで結婚披露宴。

私のではない(訊かれてもいない)。相方ユウさんの知人で、日本人カップルがインド式披露宴をするという。

ドレスコードは「パジャマ以上ウェディングドレス未満」。

結婚式に出ること自体、ものすごく久しぶりだった。ちょっとワクワクする。

ゆかたでも着て行こうか。引っ越し未遂をした3年前に送った荷物から、ゆかた2枚が出てきた。

大阪・淀屋橋のクリーニング店のタグがついたままだった。ひー、大阪在勤時代に着て以来か。10年ぶりに着てみよう。なかなかないチャンスだもの。

1歳11カ月の丁稚ケイ、くっつき虫。

着付けの本を引っ張り出す。足の親指で踏んづけて押さえながら着る。

あ、意外に手が覚えているな。ただ、足元にケイがとりついて離れない。

いつもと格好が違うからか。あのね、別の惑星に行くわけじゃないよ。抱っこしろと要求する。着られない…。

アンパンマンを見せても効き目がない。

抱っこしたまま30分、時間切れ。

帯が結べそうにない。あきらめた。虫干しができたと思おう。あーあ、ちょっと悲しいけれど。パリで買ったシャツに着替える。

12:00、創業70年の会場「エセックスファーム」へ。

道路沿いにやたら「ファーム(農場)」があるんだな。そう思っていた3年前、「ファーム=宴会場」と知った。

白亜の御殿がバルーンや花で飾り付けられていた。

まずはスナックタイム。

サービス係がたくさんいるのがインドっぽい。参加者の間をお盆を片手に練り歩き、パニール炒めやジャガイモコロッケを勧める。

チキンあぶり焼きには赤い丸が献立に記されている。

非菜食を示すマークで、マッシュルームの揚げたのには菜食を意味する緑の丸がついている。インドではあらゆる食品が菜食かどうか示される。

わらわらとサービス係が何度もやってくるから手が伸びる。いかんいかん、メーンが入らなくなる。

新郎新婦、入場。

高砂席…とは言わないだろうが、檀上にスポットライトとフラッシュが光る。

インドの国旗カラー、白、緑、サフラン色をまとった伝統衣装だった。あでやかー。インドで出会って結ばれた2人にふさわしいな。

ビュフェの料理は30種類以上。

菜食カレーはジャガイモのカシミール風、パニール(チーズ)入り、豆スープがあった。大好物のオクラの揚げたのもあった。よっしゃー。

「わらわら給仕隊」がナンを配ってくれるものだからパニールがすすむ。やっぱりナンが好きだー。叫びそう。4枚たいらげた。

デザートはインドのアイス・クルフィー。

カルダモンが効いていた。ふにゃふにゃの糸コンニャクみたいなのが添えられる。お約束だが慣れないなぁ…。

一芸入魂の出し物にパチパチ。

マンゴーの木とバッファローの皮でつくった和太鼓チーム、サリーをまとった「ナマステ合唱隊」に、美しいボリウッドダンサーズ…。

しっかりインドに根を張り、楽しんでいる。私もかくありたい。

私なんぞが歌って踊ってもただの酔っ払いだろうが、ウェディングケーキや引き菓子、結婚新聞づくりなら…。3カ月後だったら参戦したのになあ。

シメはインドの結婚式お約束、ダンス大会。

インドの結婚式に欠かせない。お立ち台に集まって手足を伸ばし、好き勝手に踊る。私もケイを抱っこしたまま乱入した。あぁ、もっとうまく踊りたい。

最後に新郎新婦にあいさつ。

200人近い参加者だったような。どんどん増えて当人たちも把握していなかったらしい。インドらしい。

スピーチも何も頼まれていない結婚式って、いいな。

本日はお日柄もよく…というかよすぎる46℃、若い2人のなれそめを片すみからニコニコ聞き、余興に力いっぱい拍手をし、ダンスに飛び入り参加する。

インドに来てすぐ、こんな機会に恵まれるなんて。幸せのおすそわけ、心から感謝しよう。そして苦しい。ナンが我がデッパラでボリウッドダンスを踊っている…。